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令和 4年 9月定例会本会議-09月29日-03号

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  1. 長野県議会 2022-09-29
    令和 4年 9月定例会本会議-09月29日-03号


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    令和 4年 9月定例会本会議-09月29日-03号令和 4年 9月定例会本会議 令和4年9月29日(木曜日)  出席議員(55名)   1 番 望月義寿    28 番 両角友成   2 番 小林君男    29 番 清水純子   3 番 小林あや    30 番 小池久長   4 番 原 健児    31 番 丸山大輔   5 番 清水正康    32 番 酒井 茂   6 番 加藤康治    33 番 堀内孝人   7 番 川上信彦    34 番 石和 大   8 番 山田英喜    35 番 依田明善   9 番 大井岳夫    36 番 小島康晴   10 番 花岡賢一    37 番 小林東一郎   11 番 池田 清    38 番 毛利栄子   12 番 熊谷元尋    39 番 和田明子   13 番 百瀬智之    40 番 諏訪光昭   14 番 山口典久    41 番 山岸喜昭   15 番 小山仁志    42 番 丸山栄一   16 番 丸茂岳人    43 番 小池 清   17 番 竹内正美    44 番 宮本衡司
      18 番 竹花美幸    45 番 清沢英男   19 番 宮下克彦    46 番 鈴木 清   20 番 大畑俊隆    47 番 高村京子   21 番 共田武史    48 番 宮澤敏文   23 番 荒井武志    49 番 西沢正隆   24 番 埋橋茂人    50 番 風間辰一   25 番 続木幹夫    51 番 佐々木祥二   26 番 中川博司    52 番 向山公人   27 番 寺沢功希    54 番 本郷一彦   55 番 萩原 清    57 番 望月雄内   56 番 服部宏昭  欠席議員(2名)   22 番 髙島陽子    53 番 平野成基         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一    林務部長      吉沢 正   副知事       関昇一郎    建設部長      田中 衛   産業政策監     伊藤一紀    建設部リニア整   斎藤政一郎   危機管理部長    前沢直隆    備推進局長   企画振興部長    清水裕之    会計管理者兼会   総務部長      玉井 直    計局長       鈴木英昭   県民文化部長    山田明子    公営企業管理者   県民文化部こど   野中祥子    職務執行者・企   須藤俊一   も若者局長             業局長   健康福祉部長    福田雄一    財政課長      高橋寿明   環境部長      猿田吉秀    教育長       内堀繁利   産業労働部長    林 宏行    警察本部長     小山 巌   観光部長      渡辺高秀    監査委員      田口敏子   農政部長      小林安男         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      村松敏伸    議事課主事     松橋高志   議事課長      矢島 武    総務課課長補佐   宮島文明   議事課企画幹兼   蔵之内真紀   兼庶務係長   課長補佐              総務課担当係長   津田未知時   議事課担当係長   矢島修治    総務課主事     浜村幸宏         ───────────────────  令和4年9月29日(木曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(丸山栄一 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(丸山栄一 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  お手元に配付いたしましたとおりの議員から行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑の通告がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  順次発言を許します。  最初に、山口典久議員。       〔14番山口典久君登壇〕 ◆14番(山口典久 君)おはようございます。日本共産党県議団、山口典久です。  阿部知事の4期目の県政運営のスタートに当たり、初めに、国政に関する知事の見解について伺います。  今年2月、ロシアのウクライナ侵略は世界に衝撃を与えました。そして、いまだに残虐な攻撃が続けられています。このウクライナ侵略を受けて、日本の国内では、日米同盟の抑止力強化、防衛力増強が強調され、そして、岸田首相は、参院選後できる限り早く憲法改正の発議に至る取組を進めていくと宣言しました。そして、敵基地攻撃能力の保有、軍事費を5年以内にGDP比で2%以上への増額を進めようとしています。  しかし、今回のウクライナ侵略の背景には、NATO諸国もロシアも軍事力によって相手の攻撃を抑止するという戦略を進めてきたこと、力対力に陥ってきたことがあるのではないでしょうか。もちろん、国連憲章をじゅうりんしたロシアは責任を逃れることはできませんが、その上で、力対力の外交の失敗があったことを指摘しなければなりません。  今進められようとしている日本の大軍拡の路線は、東アジアと世界に新たな軍事的緊張をつくり出し、軍事対軍事の危険な悪循環を生み出します。軍事費の2倍化は、社会保障や教育予算をはじめ、暮らしを押し潰すことになりかねません。今必要なのは、戦争を起こさないための外交に知恵と力を尽くすことではないでしょうか。  参院選後の共同通信の世論調査でも、戦争を回避するための手だてとして、平和外交、憲法9条厳守が半数近くを占め、軍備拡大は十数%でした。日本が軍拡の道に進むのか、それとも平和外交、憲法9条を生かして話合いにより戦争を防ぐ道を進むのか、重大な岐路に立たされています。日本の進むべき道について阿部知事の見解を伺います。  ロシアのプーチン大統領は、核兵器使用の脅しを繰り返しています。これが、単なるはったりや脅しではなく、不測の事態を招きかねないとして、世界で不安が広がっています。核兵器大国の指導者がその先制使用を公言し、世界を脅迫する事態に、もはや核兵器が抑止力とならないことが明らかになったのではないでしょうか。核兵器の使用を止め、核戦争への恐怖をなくす唯一の方法は、全世界から核兵器を緊急に廃絶することです。今、唯一の戦争被爆国日本が果たすべき役割が重要になっています。日本が世界に広がる核兵器禁止条約に参加し、核戦争の危険をなくしていく国際的な世論形成に大きな力を発揮すべきときと考えますが、いかがでしょうか。阿部知事の見解を伺います。  先日発表された長野市の8月の消費者物価は、総合指数はこの間上がり続け、前の月と比べて0.4%の上昇、1年前に比べると4%の上昇でした。食料は1年前に比べ5.1%、光熱水道は17.7%の上昇で、物価高騰が一層深刻になっています。  その大きな原因が、アベノミクスの異次元の金融緩和がもたらした異常円安にあります。為替の影響だけでも、輸入品価格は昨年に比べて2割も高騰しています。異次元の金融緩和の行き詰まりは明らかです。  ところが、岸田内閣が6月7日に閣議決定した新しい資本主義実行計画は、当初掲げた分配重視が消えてしまい、大胆な金融政策等アベノミクスの3本の矢を堅持することを明記しました。所得倍増は、いつの間にか資産所得倍増にすり替わっています。同時に、物価高騰で暮らしが苦しくなっている原因に、賃金が上がらない、低い年金、教育費が高過ぎる問題があります。また、消費税の連続増税で家計と景気が傷めつけられてきました。10月から、370万人の高齢者を対象に、医療費の2割負担も実施されます。  日本の経済の成長を止め、格差と貧困を拡大し、深刻な事態を招いた大本にあるアベノミクスや新自由主義から、賃金の上昇や社会保障の充実等国民に優しい経済に転換してこそ、持続可能な経済の成長につながると考えますが、いかがでしょうか。阿部知事の見解を伺います。  続いて、阿部知事の県政運営の基本姿勢について質問します。  知事は、4期目のスタートに当たり、スタートダッシュ・アクション2022を掲げ、県内77市町村の訪問や住民らとの対話などに取り組むとしています。  この間、東日本台風災害新型コロナ感染症の拡大、異常な物価高騰等、経験したことのない重大な出来事が相次ぎ、長野県と県民をめぐる情勢は大きく変化しています。県民は、打開の展望を切実に求めています。格差と貧困の拡大が一層深刻になる中、県民の苦難をしっかり受け止めて力強く支えるメッセージと施策を求めています。知事は、どのような問題意識を持って県民の中に入り、また、県政運営に当たるのでしょうか。  市町村との連携の在り方について伺います。  子供の医療費は、県と市町村との検討の中で、中学卒業まで現物給付、いわゆる窓口無料が実現しました。さらに、その財源ともなる通院費の県の負担分が、今年度、未就学児から小学校3年生まで拡大されました。これを受けて、500円の受給者負担金も撤廃し、文字どおり完全無料を実施する自治体が17町村に広がっており、大いに歓迎するものです。  今、市町村においては、生活が困難な方への灯油や電気代の支援、物価高騰手当が広がっています。また、学校給食は食育の重要な一環であり、給食費の無償化が現在22市町村に拡大していることは貴重な前進だと考えます。  これまで、こうした施策は市町村が実施することが適切とされてきました。しかし、県民の要望が強く、市町村行政の重要性も増しています。従来の県と市町村の役割分担にとらわれず、県と市町村が協働しながら県民要望に応えるなど、関係性を見直すことが必要と考えますが、いかがでしょうか。  以上、阿部知事の見解を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私の国政あるいは県政運営の基本姿勢についての御質問に順次お答えしたいと思います。  まず、国の安全保障政策についてでございます。  今までの我が国は、日米安保の下で、国際的な紛争、防衛、安全保障ということについてかなりアメリカに依存してきました。今もその状況が続いているわけで、そういう中で、沖縄の皆様方をはじめ、基地負担に苦しんでいる方々もいらっしゃるという現状があります。  そういう中で、これから日本をどうしていくのかということについては、やはり外交や防衛を全般的にしっかり考えていかなければいけない時期に来ているのではないかというふうに思います。  私は、自らの国の平和と安定は自ら守り抜く覚悟が必要だというふうに思っております。もとより、外交努力を通じて国際間の諸課題を解決していくということがまずは基本だというふうに思っております。しかしながら、現在の国際情勢においては、国民あるいは国土を守るためにどのような防衛力が必要であるのかということについては真摯な議論が必要だというふうに考えております。そういう観点で、外交を含めたこの防衛政策、安全保障政策全般について、総合的、戦略的な政策の在り方を、ぜひ政府、そして国会の場でしっかり検討いただきたいというふうに考えております。  続きまして、核兵器禁止条約に参加し、核戦争の危険をなくすため我が国が力を発すべきと考えるが見解を伺うという御質問であります。  我が国は、世界で唯一の被爆国であるわけであります。そうした我が国にとりまして、核兵器の廃絶と恒久平和の実現は全ての国民の願いだというふうに考えています。  県議会におきましては、昭和59年に核兵器の廃絶と世界の恒久平和を実現するため、非核平和県民宣言が決議されております。それ以来、核兵器廃絶を求める意見書を国に対して5回提出をされてきていらっしゃるわけで、こうした取組に敬意を表したいというふうに思います。  私も、広島、長崎の被爆者の方たちが訴える核兵器廃絶国際署名、これは、核兵器を禁止し、廃絶する条約を結ぶことを全ての国に求めるというものでありますが、この国際署名の趣旨に賛同し、署名をさせていただいたところであります。  来年、我が国で開催されるG7サミット、首脳会合は、まさに被爆地広島で開催されるということになります。日本政府においては、実効性のある核兵器の廃絶に向けた取組、世界で唯一の被爆国としてリーダーシップを発揮していただくことを強く期待しているところでございます。  続きまして、新自由主義からの転換による持続可能な経済成長の必要性についての御質問であります。  本年6月7日に閣議決定されました新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画におきましては、昨日も少し言及いたしましたが、新しい資本主義を貫く基本的な思想として、「市場も国家も」、「官も民も」によって課題を解決していくということや、課題解決を通じて新たな市場をつくる、すなわち社会的課題解決と経済成長の二兎を実現する。そして、国民の暮らしを改善し、課題解決を通じて一人一人の国民の持続的な幸福を実現するということ、こうしたことがうたわれているところであります。  市場だけに頼ることなく、社会的課題の解決や国民一人一人の幸福追求、こうしたことを目指していくという方向性については、私としては共感しているところでございます。  また、同日閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針でありますが、その中におきましても人への投資が強調されておりますし、また、多様性に富んだ包摂社会の実現や、一極集中から多極化した社会への転換、こうしたことがうたわれているところであります。岸田内閣、現政権与党におきましては、ぜひこうしたことの実現を貫徹していっていただきたいというふうに期待しているところでございます。  続きまして、県政運営の基本姿勢ということで、まず、スタートダッシュ・アクション2022で、県民の皆様方と対話をするわけでありますが、どのような問題意識を持って県民の中に入っていくのか、また、どういう問題意識で県政運営に当たるのかという御質問であります。  今回の県知事選挙で県内各地を回らせていただく中で、先日も少し御答弁したように、コロナ禍、物価高騰をはじめとした身近な生活課題、そして災害への不安、本当に様々な課題や不安を抱えていらっしゃる県民の皆様方が大勢いらっしゃるということを実感しているところでございます。  私としては、まずは対話をしっかり行うことにより、こうした県民の皆様方の思いをできるだけ受け止めていきたいというふうに思いますし、また、県民の皆様方と問題意識や方向性、これは県だけで取り組めることばかりではありませんので、問題意識や方向性をぜひしっかり共有して、共に行動できるような環境づくりに努めていきたいというふうに思います。もとより我々県行政が取り組むべきことについてはしっかり責任を持って進めていかなければいけないというふうに思います。  今後の県政運営に当たりましては、まず、当面は、確かな暮らしを守り抜くということを訴えさせてきていただいておりますので、このコロナ禍からの再生や物価高騰をどう乗り切るかということ、さらには、災害に強い県づくり、こうした多くの県民の皆様方が不安として感じていること、今、直面している課題、そうしたことにまずは全力で向き合って県民の民様方の暮らしを支えてまいりたいというふうに考えております。  続きまして、従来の県と市町村の役割分担にとらわれず県と市町村の関係性を見直すことが必要ではないかという御質問でございます。  これまでも、市町村の皆様方とは率直な対話をさせていただく中で、例えば、権限移譲を進めたり、あるいは税の滞納事案を一緒に処理するための地方税滞納整理機構を共同で設置したり、また、新しいデジタル社会に向かっていくために77の市町村が参加をいただく中での先端技術活用推進協議会の設置であったり、市町村の皆様方と協力する中でいろいろな施策を進めてきたところであります。  また、コロナ対策価格高騰対策についても、市長会、町村会の皆様方とは随時意見交換をしてきたところでございます。また、市町村と人材共同確保仕組みづくりを行っていきたいと思いますが、今後は、率直な意見交換を通じていい仕組みをつくっていきたいというふうに思っています。  県と市町村との関係は、基本的な法令で定まっている部分もたくさんありますので、そこはしっかり押さえていかなければいけないと思いますが、ただ、これは県がやってもいいし市町村がやってもいいといったような課題もあります。そういう意味では、しっかりとした対話を行う中で、県と市町村の適切な役割分担、連携協力の在り方について常に考え続けていきたいというふうに考えております。  私への質問は以上でございます。       〔14番山口典久君登壇〕 ◆14番(山口典久 君)市町村との連携や協働は、とりわけ財政規模の小さい町や村が多く、少子化が進行しているこの長野県においては特に重要かと思います。給食費無償化をはじめ様々な県民要求を実現するためにも、ぜひ市町村との積極的な協働をお願いいたします。  新型コロナウイルス感染症対策について健康福祉部長に伺います。
     第7波の急速な拡大の中で、陽性者が過去最高を更新し、病床使用率が一時68%になりました。感染防止対策、感染者への対応等、医療機関、高齢者施設、保健所、そして関係する皆さんの長期にわたる過酷な中での御奮闘に心から感謝するものです。  第7波は、各地の診療・検査医療機関に受診者が殺到し、まさにパンク状態でした。私は6か所の医療機関からお話を聞きましたが、電話がつながらない、長時間の順番待ちが生じ、とりわけ休日の当番医は予定した枠の倍以上、120人、150人、中には200人が殺到し、対応し切れなかったということです。また、一般外来の診療や入院の制限等も行わざるを得ない事態が発生し、関係者からは、もう医療崩壊の寸前と悲鳴が上がっています。第7波を通じて、県内の医療はどのような状態に置かれていたのでしょうか。医療提供体制は逼迫し、まさに危機的な状況だったと考えますが、見解を伺います。  こうして必死に医療の提供を行ってきた医療機関に混迷や不信が広がったのが、国の各種補助金が9月末の期限になっていたことでした。各種補助金等の打切りや縮小は、感染医療や医療体制の強化に逆行するものです。困難な中で奮闘する医療機関が安心して医療提供を行うためにも、補助金を安定的に支給することが絶対に欠かせないと考えます。県独自の補助金の状況も含めて見解を伺います。  年末にかけて、新型コロナウイルス感染症の第8波、インフルエンザの同時流行、さらにこの先新たな感染症も懸念されます。こうした中、今回、発生届提出対象の変更に伴い、報告から漏れる患者の把握や症状が悪化した場合への対応など、不安が医療関係者からも出されています。  第7波では、重症化しにくいと言われてきました。しかし、軽症と診断されても高熱が続いたり、せきや喉の痛みが引かない人も多いと報告があります。オミクロン株では肺炎は減ったと言われますが、一方で、持病が悪化する傾向が目立ち、回復せず亡くなる高齢者も少なくなく、死者数は過去最多になりました。若い人や基礎疾患のない人の死亡例が一定程度あることも専門家が指摘をしています。  第7波における検査体制や診療・検査医療機関の体制、入院治療、在宅治療など、この間の教訓や今後の課題について明らかにした上で、医療体制を強化し、万全の備えを確立することが必要と考えますが、見解を伺います。  続いて、高齢者施設について質問します。  第7波では、医療機関だけでなく、高齢者施設においても集団感染が発生いたしました。感染した入所者の施設内療養への対応、施設従事者や家族の感染で人員が確保できない事態等、現場の大変な苦労をお聞きしてまいりました。こうした中で、介護が必要な人がサービスを受けられない、いわゆる介護危機が深刻な問題になりましたが、長野県の状況はどうでしょうか。  県は、感染状況に応じて、高齢者施設の従事者を対象にPCR検査を実施するとともに、当該施設での自主検査を奨励し、経費を補助するとしてきました。これは、感染拡大の防止に一定の効果があったと現場でも言われています。  一方、絶えず集団感染と入所者の重症化への不安等にさらされている中で、感染状況のレベルや検査の対象者に制限があることなどに対して改善を求める声があります。高齢者施設において、必要な検査、希望する検査が行われていたのでしょうか。対象検査や対象範囲の基準の拡大と検査体制の改善についても見解を伺います。  深刻な問題になっているのが、施設内の集団感染の発生等で、新規入所者通所利用者の受入れ中止の措置が取られた高齢者施設において、経営上も大きな損失が生じ、運営に困難を来していることです。今後、いわゆる介護危機を招かないためにも、何よりも必要な介護サービスの提供を続けるためにも県としての対応が必要ではないでしょうか。  第7波の中で、医療体制と同様に、介護分野でも、この間の教訓や今後の課題について明らかにした上で新たな事態に備えることが必要と考えますが、いかがでしょうか。以上、健康福祉部長の見解を伺います。  続いて、リニア中央新幹線工事について質問します。  リニア中央新幹線の建設残土の処分場に関し、とりわけ急峻な谷や沢を埋め立てる盛土の崩落や土石流災害の不安が各地で上がっています。その一つに、豊丘村本山の残土処分場があります。ここは、トンネル工事の残土130万立方メートルを埋め立てる計画で、保安林解除が行われ、現在工事が進行しています。ところが、この工事がずさんではないかと問題を指摘する声が住民の間で上がっています。具体的には、下流に洪水調整池、埋設工、土留擁壁工等をつくった後に下流側から盛土の造成を始めるという施工手順が令和2年6月の保安林解除森林審議会において報告されていますが、実際は、下流部の施工が行われないうちに造成が始まっている可能性があるということです。  放置すれば、大雨の際に盛土崩落等の大きな災害の危険性があることからも、8月26日に3名の地元の村会議員の皆さんがJR東海に質問書を提出しています。なお、いまだに返答はないということです。  私自身、昨年9月になりますが、工事が始まっているこの本山残土処分場を見ましたが、その規模の大きさと谷の深さが強く印象に残りました。この工事は、県が保安林解除について関与しているため、盛土工事の施工について調査等に積極的に関わるべきと考えますが、いかがでしょうか。  続いて、豊丘村神稲のリニア中央新幹線伊那山地トンネル戸中・壬生沢工区で9月8日に発生した労災事故について伺います。  報道では、午前0時過ぎに事故が発生し、県や豊丘村には午前7時40分頃JRから一報が入ったとのことです。ところが、JR東海広報部は、マスコミの問合せにも事故を認めず、午後3時の金子社長の記者会見後に初めて事実を認めたとのことです。事故から半日以上たってのことです。今年3月に、国土交通省は、労災事故の発表の在り方を検討するようJR側に指示し、長野県も対応をただしてきたと思いますが、長野県は具体的にどのような対応を行ってきたのでしょうか。以上2点、リニア整備推進局長に伺います。  戸中・壬生沢工区は、昨年11月に岩盤が崩落。坂島工区でも昨年11月に岩盤崩落。今年3月にはコンクリート吹付機の配管が外れ、4月にも労災事故が発生しています。そのたびに安全対策がされたとして工事が再開されてきましたが、事故は相次ぐばかりです。このような事態は、安全対策や地元の信頼が軽視されていると言わざるを得ません。早期開業ありきのJRの視点を抜本的にただす必要があると考えますが、JR東海の事故に対する安全対策、情報開示について阿部知事の見解を伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には、新型コロナウイルス感染症対応につきまして合計7点御質問をいただいております。順次御答弁申し上げます。  まず、第7波の県内医療の状況でございます。  第7波におきましては、新規陽性者数が過去最多を更新し、療養者数が一時2万7,000人を超えるなど、過去に例のない感染状況となりました。このため、特に外来診療で厳しい状況が生じ、地域の身近な医療機関において、当日の来院を断らざるを得ない、あるいは電話がつながりにくいなどの事例が増加いたしました。  また、確保病床使用率は、8月21日に68.1%となり過去最高を更新したほか、確保病床外にも最高で1日当たり225人の方が入院しておられました。さらに、御自身の感染や陽性者との濃厚接触による医療スタッフの欠勤、高齢要介護者の入院の増加によるスタッフ不足などにより一部の医療機関では患者の受入れを制約せざるを得ない状況になるなど、本県の医療提供体制は一時的に逼迫した状況にあったと認識しております。  次に、補助金の実施期間についての御質問でございます。  医療機関に対する県独自の補助金では期限を9月末までとしたものはございませんが、国の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業につきましては、年度当初、当面の対応として9月末までの実施とされておりました。このことから、県といたしましても、国に対し、医療機関に対して計画的に支援するため早期に継続する方針を示してほしい旨を要望してまいりました。先般9月22日付で国から令和5年3月末まで継続するとの通知がございました。  現在、補助要件等制度の詳細の確認を進めているところでございますが、いずれにいたしましても、今後とも医療機関や行政が長期的な見通しを持って新型コロナウイルス感染症にしっかりと対応できるよう、必要となる財源等について国に求めてまいります。  次に、第7波での課題と第8波等に向けた医療体制の強化についての御質問でございます。  第7波につきましては、まだ新規陽性者数が高い水準にあり、今後感染が落ち着いた段階で発生状況や対策の振り返りをきちんと行ってまいりたいと考えておりますが、現時点での認識について申し上げますと、第7波の大きな特徴は、一部の医療機関で当日の来院を断らざるを得ないとか、電話がつながりにくくなるなど、外来診療の逼迫が生じたことであると考えております。  こうした状況に対しては、自己検査の活用促進、軽症者登録センターの対象の拡充や、診療・検査医療機関を増やすための取組などを実施して外来診療の負担軽減に努めてきたところであります。今後も、引き続き療養体制などを含めた様々な面におきまして県民の命と健康を守る医療提供体制の整備を進めてまいります。  なお、発生届対象外となった方々に対しては、医療機関や軽症者登録センターで県作成のリーフレットを配付、説明をいたしまして、健康観察センターの連絡先や療養上の注意事項を確実にお伝えするとともに、体調悪化時に直ちに相談できる体制をつくったところでございます。  次に、第7波における高齢者施設の感染状況でございます。  施設からの報告によりますと、8月14日から8月20日までの週がピークとなっておりまして、79施設234人の感染事例が確認されました。以降減少傾向とはなっておりますが、これまで全体で延べ405施設1,490人の感染が確認されております。これは、第6波のピークである1週間当たり25施設103人、あるいは第6波の合計ですと延べ337施設980人、これと比較をいたしますと、感染者数はピーク時で2倍、全体数で1.5倍程度となっております。  第7波は、オミクロン株の特性として、重篤度は低いものの伝播性が高く、以前と比較して高齢者施設における療養が必要となった事例が多数発生をしております。また、従業者の感染事例も多く、大変厳しい状況に置かれていたと認識をしております。  次に、高齢者施設の従事者を対象とした検査についての御質問でございます。  高齢者施設の入所者は感染による重症化率が高く、集団感染が発生した場合に施設運営に与える影響が大きいことから、県としては、行政検査の一環として集中的検査を行うとともに、感染警戒レベルの高い地域においては施設による自主検査への支援を令和3年1月から行っております。  令和3年12月末から第6波が始まり、感染力が強いオミクロン株が主体となったことを踏まえまして、集中的検査として令和4年2月から3月における高齢者施設の従事者等に対する4回の検査を実施するとともに、第7波においても、高齢者施設の従事者等に対し、8月第1週から第3週までの間、感染状況に応じ柔軟に使用していただけるよう約19万個の抗原定性検査キットを配付いたしました。あわせて、高齢者施設における自主検査費用の補助金を、7月28日から補助率を3分の2から10分の10にするなど支援策も強化したところでございます。  以上申し上げました対応を取っておりまして、必要な検査は行われていたと考えておりますけれども、今後も高齢者施設の団体からの御意見などもお聞きしながら適切かつ柔軟な対応を図ってまいります。  次に、利用者の受入れ中止による損失についての御質問でございます。  これまで、県では、例えば緊急的な人材確保や施設内療養を行う場合のかかり増し経費に相当する財政支援を行っておりまして、令和3年度の補助金の実績は、101事業所、1億355万8,000円でございました。令和4年度につきましては、7月末時点で164の事業所から相談があり、今後速やかに必要な支援を行ってまいります。  一方、受入れ中止の措置による収入減に対しては、通所サービスについて、感染症や災害の影響による利用者の減少があった事業所が請求する介護報酬の額に3%加算する制度がございまして、県ではその周知に努めているところでございます。  今議会では、価格高騰対策の一環として、県独自に社会福祉施設の支援のための予算をお願いしております。コロナ禍におきましても、介護事業所が安定した経営ができるよう、国に対しても支援を拡大するよう引き続き粘り強く働きかけをしてまいります。  それから、これまでの教訓を踏まえた今後の対応についての御質問でございます。  第7波の経験を踏まえますと、高齢者施設の支援としては、施設内の療養体制の確立、それから感染者の拡大を防止するためのゾーニング管理の徹底がとりわけ重要であると考えております。  これまで、県では、施設内の療養体制の確立を図るため、療養者が施設にいる場合に、1日1万円、最大30万円までを補助するほか、経口抗ウイルス薬であるモルヌピラビルが処方できるよう施設の登録を進めてまいりました。  また、ゾーニング管理の徹底としては、長野県看護協会と連携した感染管理認定看護師による施設への個別指導や、第6波の県内集団感染事例を踏まえて県で作成いたしました研修動画の視聴を徹底していただくことなどの対策によりまして、第7波に対応できるよう努めてまいりました。  今後、モルヌピラビルに関しては、従来の登録制度から一般流通品として9月16日から処方できるようになったことから、引き続きその普及に努めるとともに、事業所団体の御意見を伺いながら必要な支援を行ってまいります。  以上でございます。       〔建設部リニア整備推進局長斎藤政一郞君登壇〕 ◎建設部リニア整備推進局長(斎藤政一郞 君)リニア中央新幹線工事に関し、私には2点御質問をいただきました。  まず、豊丘村本山における発生土置場の工事への県の関与についてのお尋ねでございます。  本山の発生土置場については、県では、事業者であるJR東海から提出された保安林解除申請書の内容を確認した上で国へ進達し、国が保安林の解除を行っております。  盛土工事は、事業者において責任を持って行うこととなりますが、本山につきましては、事業者であるJR東海立会いの下、南信州地域振興局とリニア整備推進事務所が連携し、現地確認により工事状況を把握しております。今後も工事の進捗を踏まえ、確認を行ってまいります。  次に、JR東海の労働災害の公表に係る県の対応についてのお尋ねでございます。  県としましては、今年の3月に伊那山地トンネル坂島工区で2度目となる労働災害が発生し、再発防止の報告を受けるに当たり、地域の関心の高い情報として積極的に公表していくよう要請しました。JR東海では、労働災害の公表は内容を考慮し判断するとの方針としていますが、その後続いて発生した同工区での3回目の発生時、また今月発生した戸中・壬生沢工区での発生時にも県では積極的な公表を要請しております。  また、議員お尋ねの今月の労働災害発生時のJR東海の報道対応の経過についても現在確認しているところでございます。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)リニア中央新幹線に関連してJR東海の労災事故の安全対策、情報開示についての御質問でございます。  県内のリニア中央新幹線工事での労働災害は、トンネル工事特有の掘削面の肌落ちによるものが1件、その他は、様々な作業工程の中で一般的な工事でも発生し得る不注意が原因のものというふうに承知をしております。  県としては、発生した労働災害に対し、原因の究明と再発防止の徹底、他の工区も含めた再発防止を要請し、JR東海においては、全工区で原因と再発防止策を共有する協議会の設置や作業手順書の見直しなど、安全対策を強化してきているところであります。  JR東海と工事の施工会社には、安全教育による安全意識の向上や安全管理の徹底など、より一層労働災害の防止に努めていただきたいというふうに考えております。また、積極的な情報公開と地域への丁寧な説明は、地元の市町村や地域の皆様方との信頼関係を築いていく上で最も基本なことだというふうに思っております。そうした観点で、JR東海には、事業主体として積極的な情報開示に努めていただくよう県としても引き続き要請してまいりたいと考えています。  以上です。       〔14番山口典久君登壇〕 ◆14番(山口典久 君)斎藤リニア推進局長からは、本山の施工工事に関しては状況を把握しているというお答えだったと思うのです。  そこで、再質問をさせていただきます。  状況を把握していただいた結果、特に問題はなかったということでしょうか。そして、もし問題がなかったのであれば、その旨、不安を持っている地元住民の皆さんにも報告していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。リニア推進局長に伺います。  リニア中央新幹線は、その必要が問われる情勢の変化が今起きています。気候危機の下で、既存の新幹線の4倍もの電力を消費すると言われています。新型コロナ感染症の拡大により、テレワーク等の普及で、住まい方、働き方にも変化が現れ、ゆとりを持った社会への転換の流れが広がっています。高速鉄道を使った出張等のニーズも減ってきています。スーパー・メガリージョンと言われますが、巨大都市圏に人、物、金、情報を移動、集中する構想は、今、地方の過疎、衰退を加速させるもので、既に破綻していると言わざるを得ません。  JR東海に対して、この情勢の変化を踏まえ、一旦立ち止まって事業の必要性を検証することを引き続き求めていくことを申し述べて、質問を終わります。       〔建設部リニア整備推進局長斎藤政一郞君登壇〕 ◎建設部リニア整備推進局長(斎藤政一郞 君)本山の状況についての再質問がありましたので、お答えさせていただきます。  今回の本山の事業につきまして、JR東海に県のほうからも確認をしているところでございますが、下部工事に必要な搬入路を上部から入れる必要があると。その部分のアクセス道路からの搬入路の工事、こういったものが必要だったということをお聞きしております。ただ、こういった説明は、実際には、村を経由していただいている質問書がございます。JR東海には、この点も含めまして、しっかり住民の皆さんに説明していくということを改めて要請してまいりたいと思います。以上でございます。 ○議長(丸山栄一 君)次に、服部宏昭議員。       〔56番服部宏昭君登壇〕 ◆56番(服部宏昭 君)質問をさせていただきます。  阿部知事は、これまでの3期12年、堅実に県政運営に取り組んできたと承知をしており、4期目をどのように方向づけていくのか、大きな関心を持っているところであります。  知事は、3期目のスタートにおいては、県民の意見を聴いて施策を推進していくこととしていました。そこで、知事にお伺いします。3期目をどう総括し、4期目において何を最も重要な方針として取り組んでいかれるのか。  また、私は、知事の4期目の県政は、地方創生にしっかり取り組み、本県の人口減少を食い止めることが重要だと思います。県と市町村が連携し、子供を生みやすく育てやすい環境の整備や移住の推進、交通網の整備等、様々な取組が東京圏への一極集中是正のために必要です。したがって、あらゆる県行政を地方創生、人口減少対策に結びつけて強烈な知事の指導力で進め、結果をきちんと出し、他県が目を見張るほどの実績を上げていくべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いします。  次に、長野県は3年連続の大災害を受け、その復旧・復興に取り組んでおります。災害復旧工事は、地域の安全のため、受注企業は早期完成となるように工程を組み、資材の販売企業は、それに合わせ、生コンやアスファルト等の資材を供給しているのであります。  しかし、大規模災害では、多数の工事箇所が同時期に一斉に資材を使用するために、販売企業の体制強化に加え、発注者による現場間調整が必要となりますし、行政も含め、建設産業は一丸となって連携し、災害復旧の早期完成につなげているのであります。  今回、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵略や円安の進行により、原油や原材料等の価格が高騰し、建設現場でも様々な資材の価格が値上がりする事態となっています。物価高騰は自然災害と同じで、建設産業と行政が一体となって乗り切らなければならないと思います。  そして、工事全般に影響する生コンにおいては、多くが4月値上げに踏み切り、県生コンクリート協同組合連合会は3月に県に早期単価改定を要望しましたし、アスファルトにおいても同様ですが、建設業協会もこの値上げに対し3月に早期対応を県に求めています。そこで、この状況下で、建設工事における資材高騰の状況、県の対応、今後の方針について建設部長にお伺いいたします。  さらに、県は、3年連続の大規模災害に続き、今年度も8月豪雨があり、長野市中条や小川村では大きな被害が発生しました。そこで、8月豪雨災害の状況や復旧の見込みについて建設部長にお伺いいたします。  また、県は、こうした災害を踏まえ、県土の強靱化を図るべく5か年加速化対策を進めております。この5か年加速化対策は、令和3年から7年の5か年間で総額15兆円とされ、2年目となる今年度までに半分の7兆円が予算化され、順調に執行されています。しかし、今後の予算、財源の見通しが示されておらず、3年目以降の整備スピードが落ちるのではないか、非常に不安があります。そこで、5か年加速化対策の進捗状況と今後の取組について建設部長にお伺いいたします。  さらに、5か年加速化対策後を見据え、県土の強靱化にどのように取り組んでいくのか。これは知事にお伺いいたします。  次に、丹波島橋の渋滞対策についてお伺いします。  丹波島橋は、上信越自動車道の長野インターと長野市街地を結ぶ重要路線であり、災害時等の重要な物流路線でもあります。しかし、通勤時の渋滞は常態化し、災害時には支障となるところでもあり、早急に対応すべきと考えますが、丹波島橋周辺の渋滞対策の現状と対応、今後の方針について建設部長にお伺いいたします。  次に、道路除雪についてお伺いします。  昨シーズンの累加降雪量は、強い冬型の気圧配置と強い寒風の影響で過去5年平均の1.2倍を記録する大雪となりました。こうした中、道路の除雪作業は、安心、安全な県民生活や地域経済を維持するため、昼夜を問わず冬期交通確保に努めていただいております。  一方で、過去にはシーズンで数回しか除雪作業がなかったなど、道路除雪は年間降雪量に応じた毎年度の業務量が大きく変動する特性があり、安定した経営が課題となっています。そこで、除雪業者が少雪時でも経営を維持するため、県としてどのような対応をするのか。建設部長にお伺いします。  次に、私はこのたび林活議連全国連絡会議において会長に就任させていただき、本県のみならず、全国の森林・林業・林産業の活性化に向けて力を尽くす覚悟であります。  県では、次期森林づくり指針策定を検討されているところですが、現在、ウッドショックから、国産材、県産材が安定的に需給され、これを着実な再生産につなげていく取組が強く求められ、まさに転機に差しかかっております。  そこで、県産材の生産拡大と着実な再生産を展開するために、スマート林業及び高性能林業機械の活用等による生産性の高い新たな林業の展開及び担い手の確保育成など事業者が主伐・再造林をさらに進められるような取組を積極的に推進すべきであると思いますが、知事にお伺いいたします。  また、こうした展開を進める上での地域の木材加工システムの構築など、地域事業者の連携推進に向けた対策が求められますが、これらについての県の対応について林務部長にお伺いいたします。  次に、長引くコロナウイルス感染症及びウクライナ情勢に端を発した原油・原材料高騰により、中小零細事業者は大変厳しい状況下に置かれています。  そのような中、県内商工会が地域の事業者を支えるために行っている県補助金は、給与費に充当している大変重要な補助金であります。現在、この補助金の見直しが検討されていますが、その方向について知事の御所見をお伺いしたいと思います。  次に、6月県議会で可決した中小企業エネルギーコスト削減事業について、これまで環境になかなか配慮できなかった中小・小規模事業者に対し県の関与が殊のほか重要だと考えられますが、企業に対してどのようにゼロカーボンを促していくのか。長期も含めた戦略について産業労働部長にお伺いいたします。  次に、農業用水の管理は土地改良区や水利組合などが行っていますが、農業者の減少や高齢化に加え、担い手への農地集積などにより、用水管理に携わる人員も減少しております。また、近年頻発しているゲリラ豪雨のときには、用水路への土砂流入や溢水被害を防止するため、迅速に水門操作を行う必要がありますが、増水した河川や用水路における水門操作には危険が伴います。こうした状況から、飯綱町では水門操作を自動化したほか、信濃町や豊野地区においても自動化の検討をしております。そこで、この水門自動化は積極的に進める必要があると思いますが、県の今後の取組について農政部長にお伺いをいたします。  以上で第1回目の質問を終了させていただきます。       〔知事阿部守一君登壇〕
    ◎知事(阿部守一 君)私には5点御質問を頂戴いたしました。順次お答えを申し上げたいと思います。  まず、4期目の県政をスタートするに当たりまして、3期目をどう総括し、4期目において何を最も重要な方針として取り組んでいくのかという御質問であります。  3期目の県政は、2019年の東日本台風災害をはじめとする様々な災害との闘い、また、新型コロナウイルス感染症との闘い、3期目の県政は、こうした異常事態、危機管理対応が中心にならざるを得なかったというふうに思っております。このため、御質問にもありましたように、私は3期目は県民の皆様方との対話をしっかり行っていきたいというふうに思っておりましたが、県民の皆様方と接する機会を十分に取ることができなかったというふうに考えております。私としての大きな反省点でもございます。  そういう観点で、4期目におきましては、まずは県民の皆様方との対話、県内各市町村を回らせていただいて、ぜひ率直な意見交換をさせていただきたいというふうに思っています。そうした観点で、この県政運営の姿勢としては、対話と共創、そして県民起点、こうしたことを基本に据えて取り組んでいきたいと考えております。  また、政策面におきましては、選挙中、「確かな暮らし」を守り抜く、そして真に「ゆたかな社会」をつくるということを訴えてまいりました。まさにコロナ禍や物価高騰、様々な困難、危機が県民の暮らしや産業を襲っている状況でありますので、まずはそうした危機をしっかり乗り越えるべく全力を挙げていきたいというふうに思います。  また、その先には本当に県民の皆様方の幸せが実現できるように、とりわけ将来を担う子供たちや若者たちが希望を持って暮らせるように、また、女性や若者から選ばれる長野県となるように全力を傾けていきたいというふうに思っています。当面の危機を乗り越え、明るい未来をぜひ切り開いてまいりたいと考えております。  続きまして、あらゆる県行政を地方創生、人口減少対策に結びつけて、他県が目を見張るほどの実績を上げていくべきと考えるがどうかという御質問であります。  全く私も同じ思いでございます。これまでも、例えば、子供医療費の窓口負担軽減等の子育て支援、また、信州回帰プロジェクトの推進による人口の社会増を目指した取組、さらには、ITバレー構想を進めることによる県内産業の活性化、こうした取組を進めてきたわけでありますが、やはり今の状況を見ますと、この人口減少が様々な問題の根源に位置しているというふうに考えております。  女性や若者の幸福追求を支援するということの裏返しが、なかなか結婚したくても結婚できないとか、あるいは本当はもっと多くの子供を産み育てたいけれども、経済的にそこまで考えにくいといったような課題の裏返しがこの人口減少に現われているというふうに思っております。また、人口減少の結果として、様々な分野での人材不足をはじめとして多くの課題が顕在化してきておりますので、そういう観点でこの人口減少問題にしっかり焦点を当てて取り組んでいく必要があるというふうに思っております。  これまでの取組によりまして、人口の社会増減については、今年に入ってから7月までの直近値では累計で2,300人余の社会増となっております。これは、コロナ禍での地方回帰の動き等もあるわけでありますので、数字の分析等をしっかりしていかなければいけないわけでありますけれども、徐々にいい方向になってきているのではないかというふうに思います。  ただ、その一方で、合計特殊出生率は全国的な傾向と同様、本県でも残念ながら低下してきているという状況でありますので、ここにしっかり焦点を当てていかなければいけないというふうに思っています。市町村とともに若者・子育て世代応援プロジェクトをスタートさせたところでございます。さらにこうした施策を徹底するとともに、新しい観点からの施策の検討にも意を用いて、この地方創生、人口減少対策にしっかりと力を入れて、服部議員御指摘のとおり、全国から注目されるように取り組んでいきたいと考えております。  続きまして、県土の強靱化でございます。5か年加速化対策後を見据えてどう取り組んでいくのかという御質問でございます。  今回、選挙中に県内を回らせていただいて、被災された皆様方にもお会いしました。災害に強い県づくりは、やはり今の本県にとって多くの県民の皆様方の願いだというふうに受け止めております。まずは、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を最大限活用して積極的な取組を進めていきたいというふうに思っております。  そして、御質問にもありましたように、この5か年加速化対策後をどうするかということも重要だと思います。予算、財源を安定的に通常予算とは別枠で確保していただくということが必要だというふうに考えておりまして、この旨を6月にも国土交通省、財務省に対して要望したところでございます。引き続き国に強く訴えていきたいと考えております。防災・減災、県土強靱化を通じて、県民の皆様方の確かな暮らしをしっかりと守っていきたいと考えております。  続きまして、林業の関係で、事業者が主伐・再造林をさらに進めるための取組についてという御質問でございます。  主伐・再造林を進めるための生産性の向上に関しましては、スマート林業に必要な最先端機器や高性能林業機械の導入への支援、また、デジタル人材の育成等に取り組むとともに、6月補正におきましては高性能林業機械等のレンタル経費への支援も行わせていただいたところでございます。また、担い手対策としては、新規就業者の確保、技術の習得、就労環境の改善等に取り組んでおりまして、今年度からは、主伐後の再造林に従事する保育従事者を確保するため、雇用を奨励する新たな支援制度を創設したところでございます。  さらなる生産性の向上や、主伐・再造林の推進に向けましては、事業者、森林所有者の皆様方の機運の醸成や、再造林に対応する保育従事者の安定的な確保などの取組を強化していくことが必要だというふうに考えております。このため、次期森林づくり県民税も活用した再造林の加速化や、多様な人材の確保育成等について検討を行っているところでございます。事業者の取組がさらに一層推進されるよう積極的な支援策を考えていきたいと考えております。  また、服部議員におかれましては、ぜひ全国的なお立場からこうした取組を後押しいただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  続きまして、県内商工会への補助金の見直しの方法についてという御質問でございます。  商工会及び商工会議所は、地域経済を支える小規模事業者等の経営の安定を図るため、事業継続計画の作成や事業承継等の課題に寄り添った支援を行っていただいているところであります。とりわけ近年は、災害からの復興、そしてコロナ禍における経営支援、物価高騰対策への対応といった大変重要な役割を我々県行政とも連携しながら果たしていただいているところでございます。御協力、御尽力に大変感謝をしているところでございます。  商工会等の運営経費の一部を支援する小規模事業経営支援事業費補助金は、主に5年ごとに行われます経済センサス活動調査の小規模事業者数に基づいて算定が行われますことから、小規模事業者数の減少が、組織運営、とりわけ事業者支援体制に影響を及ぼしかねない状況にあるというふうに認識しております。  このため、より安定した経営指導体制が構築できるよう補助制度を見直すべきときだというふうに考えております。具体的には、経営指導員の専門性が十分発揮される仕組みとなるよう、経営指導に要する業務量等を加味した算定方法などにつきまして商工会等と丁寧に議論を行っているところでありまして、年度内には方向性をお示しできるよう協議を進めていきたいと考えております。  今後とも、地域の小規模事業者の皆様方が、ゼロカーボンやDX、働き方改革など、当面する課題に対応して発展していくことができますよう、商工会、商工会議所の皆様方とも十分連携しながら取組を進めていきたいと考えております。  以上でございます。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君)私には5点御質問をいただきました。順次お答えいたします。  まず、建設工事における資材価格高騰対策についてのお尋ねでございます。  主要資材の価格につきましては、4月から8月末にかけて、鉄筋は約24%、生コンクリートは約10%、アスファルトで約14%価格が上昇しており、こうした状況を速やかに設計単価に反映していくことが重要と考えております。  この状況に対応するため、4月から建設工事の設計単価の改定に係る資材の実勢価格調査員を増員するとともに、建設業協会などの事業者の協力により最新の取引状況を把握しています。また、速やかな単価改定のため、積算システムの改修を実施しております。これらの体制強化により、主要資材の生コンクリートでは4月以降4回の単価改定、アスファルトでは2回、石材では5回単価を改定しております。  また、工事の発注に当たり、最新の設計単価を用いることはもちろんですが、既に契約した工事についても、最新の設計単価に基づく請負代金に変更するよう発注機関に周知するとともに、その手続に必要な書類の簡素化やチラシによる周知により受注者の負担軽減にも取り組んでおります。資材価格の高騰は現在も継続しているため、協会等と意見交換しながら引き続き資材価格高騰対策に取り組んでまいります。  次に、今年8月に発生した豪雨災害の状況と復旧見込みについてのお尋ねでございます。  8月6日から7日にかけて、小川村で1時間に69ミリ、24時間で129ミリの激しい降雨を観測するなど、長野市、小川村において大きな被害が発生しました。この雨により、県と市町村を合わせて133か所、約38億円の公共土木施設の被害が報告されています。これらの被災箇所のうち、特に緊急性の高い箇所については、河川内の埋塞土の除去や道路上の土砂撤去など、被害拡大を防止するための応急工事を災害発生直後に実施しております。  また、特に被害の大きかった小川村濁沢地区の地滑りについては、9月16日付で国の災害関連緊急地すべり対策事業にいち早く採択され、今回補正予算をお願いしております。現在、被災した小川村管理の公共土木施設に対しては、9月20日から災害査定を開始し、復旧に向けた手続を進めており、他の箇所についても11月初旬までには査定を完了させ、復旧工事に着手してまいります。復旧に当たりましては、地域の皆様が安心して暮らせるよう、今回お願いしている補正予算も活用しながら全力で取り組んでまいります。  次に、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の進捗状況と今後の取組についてのお尋ねでございます。  5か年加速化対策では、道路ネットワークの機能強化対策、「いのち」と「くらし」を守る土砂災害対策、予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策など、県土強靱化の取組について達成目標を設定し、進めているところです。  土砂災害対策では、土砂災害特別警戒区域内にある132の要配慮者利用施設への対策を対象とし、昨年度まで50か所で対策を完了し、令和7年度までにさらに14か所で対策を完了させる予定です。  道路の老朽化対策では、点検により緊急に対策が必要な橋梁について昨年度までに83%の箇所で修繕工事に着手しており、令和7年度までに全箇所で工事に着手する予定です。今後も、5か年加速化対策の目標達成に必要な予算をしっかりと確保し、県土強靱化を強力に推進してまいります。  次に、丹波島橋の渋滞対策についてのお尋ねでございます。  丹波島橋の渋滞対策については、総合的、横断的な取組が必要となることから、長野市、県警察、県により構成する丹波島橋渋滞解消に関する研究会を令和元年9月に立ち上げ、主に丹波島橋周辺の交通容量の拡大、自動車利用者の総量抑制及び交通分散による渋滞対策について、それぞれ役割分担の下、具体的な取組について検討を進めております。  例えば、交通容量の拡大に向けた取組として、現在、荒木交差点の改良を進めています。具体的には、昨年3月に、県事業により丹波島橋から北側の荒木交差点に向かう国道117号の右折レーンを延伸したところであり、引き続き長野市で荒木交差点西側の長野市道の直進レーン増設に今年度着手してまいります。  本研究会では、今後、荒木交差点改良後の効果検証に加え、長野市で実施しているスマート通勤応援事業などの自動車利用者の総量抑制に向けた事業展開や、交通分散による渋滞対策につながる犀川渡河部の新橋に関する課題整理など引き続き検討を行い、渋滞対策を進めてまいります。  最後に、道路除雪企業の安定経営についてのお尋ねです。  除雪企業に支払う費用は、降雪量に応じた実働に伴う除雪作業費等に加え、降雪量に左右されない機械の点検費用などの固定費用を計上しています。こうした費用について、「地域を支える建設業」検討会議等の場で、少雪時は受注企業の負担が発生しており、除雪体制を維持していく上で十分ではないとの御意見をいただいていました。このため、受注企業への負担が増えている実態を踏まえるとともに、国の動向を参考にしつつ、今年度から少雪時の固定的経費の支払い額を増額しました。今後も、「地域を支える建設業」検討会議等の機会を通じて、企業側の意見を聞きながら、除雪体制の確保維持に向けて取り組んでまいります。  以上でございます。       〔林務部長吉沢正君登壇〕 ◎林務部長(吉沢正 君)林産業に係る地域事業者の連携推進に向けた対応についてお答えします。  県産材を安定的に供給していくためには、地域事業者間の連携による木材産業の活性化を図ることが極めて重要であると認識しております。  県では、住宅建築の需要者側である工務店と製材工場とのマッチングを支援する商談会や現地ツアーの開催、また、川下の需要者側のニーズを川中の製材工場等へつなぐ県産材製品コーディネーターの配置などを通じて県産材の販路拡大に取り組んでいますが、多様なニーズに的確に対応していくためにはさらなる連携が必要と考えております。  木材産業界の声もお聞きしながら、製材工場間で不足する設備等の補完や同一規格製品の共同出荷などを行う水平連携の構築や、地域や県外でのまとまった需要に対応できる川上から川下までの一貫した流通体制の構築について検討してまいります。  以上でございます。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)企業に対してゼロカーボンを促す戦略についてお答えいたします。  令和3年6月に策定した長野県ゼロカーボン戦略で掲げる目標を達成するためには、企業一社一社の自主的な脱炭素化への取組が重要であり、まずは自社のカーボン排出量の把握が必要と考えております。  このため、中小企業エネルギーコスト削減助成金では、原油・原材料価格の高騰等に直面する中小企業を対象に、設備の入替えのみならず、温室効果ガス排出量を算出し、計画的な排出削減や脱炭素経営につなげていただく仕組みとしております。  また、県産業振興機構に設置したグリーンイノベーションセンターと工業技術総合センターが連携し、LCA、ライフサイクルアセスメントに基づくカーボン排出量の可視化や削減を促すなど、県内事業者がサプライチェーンの中で選ばれ、力を発揮できるようサポートを始めたところです。引き続き県内企業が脱炭素化の流れに後れを取らないよう支援を行ってまいります。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には、農業用水における水門の自動化について御質問をいただきました。  水門の自動化は、用水の日常管理の省力化や、豪雨時の迅速な操作及び作業員の安全確保を図る上で有効な手段であると考えております。  現在の県内の設置状況ですが、受益面積100ヘクタール以上の基幹的な農業用水路の取水工や分水工等の施設674か所のうち、水門が自動化されている施設は24か所となっています。自動化が進まない主な要因としては、一つ一つの水門の大きさや重量が異なることから、巻上機などの機器が特注品となり設置費用が高額となること、また、自動化に伴い発生する通信費や将来のバッテリー交換など維持管理の経費に対する不安があります。県としては、機器の標準化や一括発注によるコスト縮減を研究するとともに、施設管理者の不安を解消するため、先行事例の効果や維持管理に関する情報を提供してまいります。  また、設置に当たっては、国庫補助事業を活用し、農家の負担軽減を図りながら積極的に推進してまいります。  以上でございます。       〔56番服部宏昭君登壇〕 ◆56番(服部宏昭 君)それぞれ答弁をいただきました。ありがとうございました。  知事は、県民の意見をこれからもしっかり取り入れて県政に当たると言っておられます。県民の声を聴くことは非常に重要だと思います。県民の声を聴きつつ、県として、知事として、次の5か年計画をしっかり立てて、どこに力を入れていくのか、めり張りをつけて県政に取り組んでいただきたいと思います。  また、渋滞しておりました落合橋は架け替えが決まり、いよいよ始まりますので、渋滞は改善されます。しかし、丹波島橋は大変な渋滞でございますけれども、まだ新しい橋を架け替えるというような段取りにはなっておりません。  そこで、これは要望でございますけれども、丹波島橋は中央に分離帯があります。あの分離帯を利用して、あるいはまた、歩道も広いということで、歩道も一部活用させていただいてもう1レーン増やしたらどうかと。あるいは2階建てにして、2階に1レーン設けたらどうかというようなことが考えられますが、ぜひ建設部のほうで御検討いただいて、国とも相談していただき、渋滞解消につなげていただきたいと思います。  以上で質問の全てを終わります。ありがとうございました。 ○議長(丸山栄一 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時19分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○議長(丸山栄一 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  小林東一郎議員。       〔37番小林東一郎君登壇〕 ◆37番(小林東一郎 君)最初に、今議会に提案されている変更請負契約の締結の追認について伺います。  本来議会の議決が必要な5億円以上の契約に該当する令和元年公共土木施設災害復旧工事(金山橋下他)の4回目の変更請負契約が、本年3月11日に議決を得ることなしに締結され、3月24日には竣工し、4月11日には業者への支払いも終了とお聞きしています。  今議会の議案説明で、知事は、「このような誤りはあってはならないことであり、県議会及び県民の皆様に心からお詫び申し上げます。」と陳謝され、「今後、組織を挙げて再発防止に努めてまいります。」と表明されましたが、再発防止に向けて、このような事態がなぜ生じたのか解明が必要になるのに加え、今回の条例違反の事案が判明したのは、9月5日の佐久建設事務所での監査委員事務局による事務調査においてと伺っていて、約6か月もの間放置されていたのはなぜかについても明らかにされなければならないと感じます。  建設部長にお聞きします。  なぜこのような事態が生じたのでしょうか。手続に関する担当職員の認識不足や建設事務所長以下決裁過程での認識不足が原因とされていますが、議会の議決に付すべきと契約に関する条例に定められている予定価格5億円以上の建設部発注の工事委託契約案件は極めてまれなのですか。過去5年間の状況をお示しいただきます。  今回追認を求められている案件は、令和元年東日本台風の災害復旧工事において、新型コロナによる工期延長に伴う諸経費の増加等により8,800万円余の増額が必要になった結果、契約額を5億200万円余に変更したというものです。これらの事務は、佐久建設事務所において進められてきましたが、同所では、どのような手順を踏んで、何人がこの手続に関わってきたのでしょうか。加えて、所長以下が議決が必要とされる決裁に携わるのは初めての経験だったのでしょうか。  また、この案件に関して、本庁の関与はどうだったのでしょうか。予算に関わることですから、同所から連絡があったと推測されますが、議決が必要との報告がなかったので関知できなかったということなのでしょうか。条例に基づいて議会に付すべきを決定する権限は誰にあるのでしょうか。  次に、会計管理者に伺います。  総額が5億円以上で議決が必要な案件だとしても、支払いの段階で会計局が議決の有無に関知することはないのでしょうか。  次に、代表監査委員に伺います。  本件は、条例違反の状態で契約が結ばれたまま、約6か月間顧みられることがありませんでした。県行政を進める上で、段階を踏んでチェックする仕組みがつくられており、見落としを防止するため何段階もの確認がされているはずというのが県民感覚です。にもかかわらず、初歩的な見落としにその仕組みが機能しなかったとせざるを得ないのですが、このことへの所見を伺います。  次に、知事にお聞きします。  組織を挙げて再発防止に努めると明言されましたが、建設部が示した再発防止策で十分とのお考えでしょうか。また、手続上のミスを防止するには、職員の意識を高めるのと同時に、欠落したものを補っていく組織の一体化が欠かせないと思いますが、ルール無視、加えて、議会軽視の状況からいかに立て直しを図っていかれるお考えですか。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君)変更請負契約の締結の追認をお願いする議案について御質問をいただきました。  答弁に先立ちまして、県議会の議決に付すべき契約に関し、議案を提出しなかったことについて、当該工事の担当部長として議員各位と県民の皆様に心よりおわびを申し上げます。  御質問の1点目、議決が必要な契約の状況に関するお尋ねでございます。  建設部において、平成29年度以降に契約した工事委託の件数は約2万件であり、そのうち変更契約を行ったものは約1万5,000件、さらにその中で議決が必要となる5億円以上の契約は34件でございました。このうち、当初の設計価格は5億円未満であったものの、変更契約に当たり議決が必要となった契約は、今回の案件を含め、2件のみでした。  次に、建設事務所の手続の状況と本庁の関与に関するお尋ねでございます。  この変更契約の事前協議のときの決裁は、所長、次長以下、災害復旧工事の施工管理を行っていた災害復旧課の3名、河川工事予算の管理を行っている整備課の1名、支払い事務を担当している総務課の3名及び出納員の計10名が手続に関わっておりましたが、今回のように変更に当たり5億円以上となる契約を扱った経験はありませんでした。  本庁では、予算の配当を通じて執行状況を管理するとともに、議会前に建設事務所に照会し、議決が必要な契約を把握しているところです。今回の災害復旧事業については、建設事務所では、発注に際して、複数の工区をまとめた合冊工事として契約する一方、本庁では、災害査定で決定された被災箇所ごとの管理を行っていたことから、本庁で議決案件であることを把握することができませんでした。  建設部といたしましては、二度とこのようなことが起こらないよう、職員の認識不足によるヒューマンエラーを組織として防ぐための対策を講じます。具体的には、建設事務所におけるミスを防ぐため、担当者が設計変更の際に確認するガイドラインを改定し、5億円以上となる変更契約の手続を明記し、工事事務管理システムにおいて5億円以上の契約の起案時に議決を要する旨のメッセージを表示させるシステム改修に着手しました。また、変更設計書や工事公告を審査する際の様式を改定し、議決を要する契約の確認者を建設事務所次長に明確化しました。  さらに、本庁においても、議決を要する契約となり得る高額の合冊契約については、箇所ごとの管理に加え、契約単位での執行状況も把握してまいります。  これらの取組により、本庁担当課と各現地機関が双方で5億円以上となる契約を確実に把握し、議案提出の責任を果たしてまいります。       〔会計管理者兼会計局長鈴木英昭君登壇〕
    会計管理者兼会計局長(鈴木英昭 君)議会の議決が必要な案件と会計局の関与についての御質問でございます。  出納機関における審査につきましては、入札手続等の前に行う支出負担行為の事前審査と業者への支払い前に行う支出負担行為の確認、支出命令の審査がございます。契約変更の場合も含め、この過程において議会の議決が必要であるかや実際に議会の議決を経ているかの確認を行っております。  しかしながら、今般の事案につきましては、出納員による十分な確認がなされず、結果としてチェック機能を果たすことができなかったことは、出納機関の代表者として深く反省するとともに、心よりおわび申し上げます。  今般の事案を受け、出納員が審査時に活用する支出審査事務の手引を見直し、審査項目をより明確化した上で、各機関に周知徹底を図るとともに、研修会等を通じて、事例の共有と法令、制度に対する理解を深め、出納機関としての責務を果たしてまいります。  以上でございます。       〔監査委員田口敏子君登壇〕 ◎監査委員(田口敏子 君)お答えします。  私ども監査委員は、昨年度の定期監査の結果でも監査委員の意見として述べておりますが、不適正な事務処理の多くは、関係規程の理解不足、それから、ダブルチェックの形骸化による確認漏れということを原因としています。  そして、不適正な事務処理の発生を防止するには、職員一人一人の理解、知識、これをより高めることはもとより、チェックの仕組みが有効に機能するよう職員間のコミュニケーションの活性化を図ることが何より重要であるのではないかと考えております。  さらに、事務の増大や複雑化に伴い、ミスが発生する危険性は高まっていますので、ICT等を活用した事務処理やチェック機能の構築も必要であると考えております。  今回、このような事案が発生したことは、誠に遺憾であります。県民に信頼されて期待に応える県行政のために、不適正な事務処理の発生防止に向け、徹底した取組をここでお願いします。また、個々の職員におかれては、今回の件を他人事ではなくて自分事として捉える、そういうスタンスで緊張感を持って職務を遂行していただくようお願いするところです。  以上です。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)今回の変更請負契約の締結の追認に関して、再発防止策は十分と考えているのか、また、どのような立て直しを図っていくのかという御質問であります。  まず初めに、議案を提出する責任者として、改めて今回のことにつきましておわびを申し上げたいというふうに思います。  小林議員もそうだと思いますけれども、こうした工事契約に関わる人間がどうして議決案件ということについて注意が向いていなかったのかというのが多くの人が感じている疑問点ではないかというふうに思います。そうした観点で、我々は、いま一度しっかりと様々な取組を点検していかなければいけないというふうに思います。  まず、建設部につきましては、先ほど部長から答弁申し上げたような対応を行ってまいります。現地機関において議決を要する契約について確認する責任者の明確化、議決を要する場合にはメッセージを表示させるようなシステム改修、こうしたものに着手しておりますほか、本庁では、議決を要する契約であるかどうかについてチェックが不十分だった点を改め、契約単位での確認を強化するための対策を講じていくという考えであります。  まずは建設部においてこうした取組を着実に進めてもらいたいというふうに思っておりますし、また、建設部以外でも同様の案件があり得ますので、ほかの部局においても建設部の取組のような対策を具体化してまいりたいというふうに思っております。  また、冒頭申し上げたように、そもそもどうしてというふうに思われかねないような案件だというふうに率直に言って思っております。先ほど田口代表監査委員からも御指摘いただいたように、職員間のコミュニケーションや、ヒューマンエラーを防ぐためのシステム対応、これは、契約案件に限らず、県組織として取り組まなければいけないことであるというふうに思っております。  一人一人の職員が自分の仕事に対するオーナーシップをしっかり持ってもらうということと併せて、様々な事務処理ミスでもどうして周りの人が一言言えなかったのかというようなこともたくさんあるわけでありますので、今回の事案に対する先ほど申し上げたような具体的な対応と併せて、組織風土の在り方についても県庁全体でその改善に取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔37番小林東一郎君登壇〕 ◆37番(小林東一郎 君)建設部長からは、建設事務所での決裁過程に10名の職員が関与していたという答弁がありました。  いろいろ考えてみると、多分7段階の決裁の部分でチェックをすべき過程があったのだと思います。その七つものチェック過程を全部すっ飛ばしてしまったということであります。先ほど代表監査委員から職員の意思疎通、緊張感を求めるというお話がありました。さらには、チェック機能の見直しもぜひしっかりと立て直してもらいたいというお話があったところでありまして、私は、一人一人の職員が、各種の許認可権を持ち、税の執行に当たる立場であることを改めて認識していただく必要があると思います。林務部職員による文書偽造の件といい、本件といい、駄目だとは分かっているがこれくらいならとか、ついうっかりとかの初歩的な認識の欠如、ここからしっかりと断ち切っていく。県民福祉の向上のために働くという基本に立ち返ってねじを巻き直すべきだと私は思いますが、知事に再度お伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)お答え申し上げたいと思います。  許認可権、あるいは税の執行権、こうしたことを有しているということをしっかり一人一人の職員が自覚すべきだ。そうした観点で、もう一回県庁の在り方を立て直すべきだという御指摘は、私も重く受け止めなければいけないというふうに思います。  先ほども代表監査委員のお言葉を引きながらお話をさせていただきましたけれども、知事室に入った職員は、いつも知事は怒っていると思うかもしれませんけれども、私は、県民の皆様方の代表として、強く言わなければいけないことは言わなければならないということで、どうしてこんな基礎的なことができないのだということを指摘させていただいています。  ただ、私が幾らそんなことを言っていても変わらないだろうというふうに思います。これは、先ほど小林議員から御指摘があったように、一人一人の職員の皆さんが、誰かから言われてということではなく、自分たちは一体誰のために仕事をしているのか、何を目的に仕事をしているのかということをしっかり自覚していくということが重要だと思います。  とかくこういう議論をすると、意識改革という話になってしまいがちでありますけれども、意識改革という話へ持っていってしまうと、一人一人の職員が悪いということにもなってしまいかねません。むしろ、組織全体の仕事の在り方、全体的にどうしてもっとお互いに支え合えないのか、どうして特定の職員だけに仕事が集中してしまうのか、どうして簡単な声がけができないのか、こうした基本的なところからしっかり考えていかなければいけないというふうに思います。  県民の皆様方に真に役に立つ県組織にしていきますということが私の今回の公約でもあります。ああした公約を掲げさせていただいたのは、まだまだ県組織は改善しなければいけない点があるという思いでありますし、まさに今回こういう形で顕在化してしまいましたことは大変残念であり、私としては本当に申し訳なく思っております。単に建設部の問題だということにすることなく、県庁組織全体の課題として受け止めて、しっかりと組織の改善に取り組んでいきたいというふうに思っております。  以上です。       〔37番小林東一郎君登壇〕 ◆37番(小林東一郎 君)盛土規制条例の運用に関して、リニアの残土処理など大規模な盛土申請であっても、知事の許可権限を建設事務所長が判断する方向で検討が進められているようですが、今回のていたらくを見てしまうと、熱海での盛土崩落事故に見られる人命に関わる判断を現地機関が担うことに危うさを感じざるを得ません。  知事は、私が職員に話をしたから改まるものではないというようなことでありましたけれども、知事には綱紀の粛正を切望して、次に進みたいと思います。  次期森林づくり指針と第4期の森林づくり県民税について伺います。  8月29日に開催された本年度第2回みんなで支える森林づくり県民会議で、次期森林づくり指針と来年度からの県民税の在り方についての方向性が示されました。  これに続いて、今議会の議案説明で、知事は、本県の多くの森林が伐採適齢期を迎える中で、成長の旺盛な若い森林へと更新する主伐・再造林の推進が2050ゼロカーボンを実現し、林業県への飛躍を図るため喫緊の課題であり、林業人材の確保や防災・減災のための森林整備等の必要性がこれまで以上に高まっていることから、来年度以降も県民税の延長が必要であるとの判断の下、長野県森林づくり県民税に関する基本方針案を公表したと表明されました。緊急度が高い取組を実施するために必要な費用は、来年度からの5か年で総額約34億円であることから、これまでと同様の負担を県民にお願いするというものです。  林務部長に以下5項目について伺います。  一つとして、本県の民有林、人工林での齢級構成を見ると、50年生以上の森林比率が69%と高い一方、3齢級までの若い森林の比率が低く、再造林が進んでいない状況があり、北海道などの素材生産量が上位にある同県との比較から、次期指針(骨子案)が目指す森林の姿として、経営に適した森林で適期主伐とその後の再造林や保育を適切に行い、資源の循環利用を図ることがもくろまれています。それに基づき、第4期の県民税を森林の若返り促進の加速化に充てる取組が模索されていますが、どのようなスパンと規模で主伐・再造林を進めるお考えですか。また、そこに投入する県民税はどの程度になる見込みなのでしょうか。  二つとして、県内の林業事業体が再造林や保育の経験に乏しいという現状が主伐・再造林を進める上でのネックとなることはないのでしょうか。  また、基本方針案では、再造林面積を本年度予定の250ヘクタールから、最終年度である27年度には1,000ヘクタールへと4倍にまで加速するとされていますが、現場に過度の負担をかけることなしに無理なく実行できる内容と体制を想定したものになっているでしょうか。  加えて、生産される木材の利用が果たされてこその循環利用なのですが、川下対策として確かな目算はあるでしょうか。  三つとして、次期指針(骨子案)では、県内の人工林33.5万ヘクタールのうち林業経営に適した森林は約10万ヘクタールと試算されており、ゾーニングの明確化が極めて重要になります。国の森林環境譲与税活用や市町村、林業事業体との協働が欠かせないと思うのですが、どのように進めるお考えですか。  また、経営に適した森林以外の森林を極力人手を要しない森林に誘導していくことが大切になりますが、どのように取り組まれますか。  四つとして、24年度から国の森林環境税の課税が始まり、県民税も継続となれば、県民負担は24年度以降3倍となります。継続にはこれまで以上に県民理解が必要とされると思いますが、知事の議案説明では、県民理解が十分に得られるよう努めるとの文言がありませんでした。  先月公表の県政モニターアンケート結果では、県土の保全や水源涵養機能への期待が木材供給への期待を大きく上回っていますし、県民税アンケートの結果でも同様のことが読み取れます。負担増への対応も含め、県民意識との溝をどのように埋めていかれますか。  また、税がどのように活用されているのか見えにくい、身近な森林の機能がどのように向上したのか分からないという第1期県民税のときから変わっていない県民の疑問にどう応えていかれますか。  五つとして、第3期への県民税継続議論において、超過課税であるにもかかわらず多額の基金残が存在する状況があり、目的とされた事業がきちんと実施できていないのではないかとの疑問が示されましたが、今期終了時における県民税活用事業実績と基金残高の見込みをお示しいただきます。  知事は、基本方針案で示した森林の若返り促進と安全、安心な里山づくりを初めとする四つの柱の緊急度が高く、森林環境譲与税等他の財源との整理も含め精査した結果、県民への負担を引き続きお願いしたいと説明されています。  第3期までの県民税活用で、身近な里山の間伐は、やれる場所はほぼやり終えたとされている中、林業県への飛躍のため、負担増になったとしても県民税が必要だとの判断に至った意気込みを知事にお聞きします。       〔林務部長吉沢正君登壇〕 ◎林務部長(吉沢正 君)次期森林づくり県民税に関連して5点御質問をいただきましたので、順次お答えを申し上げます。  まず、主伐・再造林のスパンと規模、また、再造林に要する森林づくり県民税の額についてです。  樹木の成長度合いは、樹種などにより異なり、植林してから収穫するまでの期間は一様ではありませんが、様々な建築用材等に利用可能な太い木材の生産が見込める80年のサイクルで循環利用した場合、約10万ヘクタールと見込む林業経営に適した森林における毎年の主伐・再造林面積は1,250ヘクタールと試算されます。  令和3年度の再造林面積は約280ヘクタールですが、5年後の令和9年度には1,000ヘクタール、10年後の令和14年度には1,250ヘクタールまで増加させることを想定しています。  今回の森林づくり県民税に関する基本方針案では、再造林面積を順次増加させ、5年間の累計で2,900ヘクタールの再造林に約11億3,000万円の森林づくり県民税の活用を見込んでおります。  次に、林業事業体における再造林や保育の支援、川下対策についてです。  再造林や保育作業自体は、技術的には林業の中でも比較的従事しやすい作業であり、県内には、伐採から再造林、保育に至るまで一体的な施業により取り組んでいる事例もございます。経験の乏しい事業体に対しては、こうした事例の横展開を図りながら、地域の実情も踏まえ、段階的に再造林や保育を推進してまいります。  あわせて、再造林や保育を着実に進めるには、様々な形態で林業に関わる人材を増やしていくことが重要と考えており、次期森林づくり県民税を活用した他産業との兼業や季節的な雇用など、多様な林業の担い手の確保に向けた検討を進めてまいります。  また、主伐等により増加が見込まれる県産材の川下対策につきましては、店舗などの非住宅分野への木材の活用、身近な生活用品を木製品へと転換するウッドチェンジの推進、県内外の木材需要に関する情報を県内の製材工場等につなぐ県産材製品コーディネーターの配置といった取組に加えまして、県産材の流通体制の整備についても検討し、販路拡大による川下対策の充実を図ってまいります。  3点目は、ゾーニングの明確化とそれに応じた森林づくりです。  林業経営に適した森林については、市町村森林整備計画において、特に効率的な施業が可能な森林に位置づけることなどを想定しております。説明会の開催や地図検索システムの提供により市町村の取組を支援し、ゾーニングを進めるとともに、林業事業体が実施する再造林などの森林整備につなげてまいります。  また、それ以外の森林では、災害の防止や水源涵養などの公益的機能が十分に発揮されるよう、市町村が森林環境譲与税を活用し実施する森林整備や、林業事業体が造林事業などにより実施する針広混交林化などを促進してまいります。これらの取組を進めるためには、市町村や林業事業体の御理解・御協力が欠かせないことから、十分な意見交換を行い、連携を図りながら森林づくりを推進してまいります。  4点目は、県民の負担増への対応や税の活用状況の見える化についてです。  県政モニターアンケートで期待度の高かった森林の県土保全、水源涵養機能に関しましては、これまでも治山事業や造林事業などにより対応してきており、今後も必要な事業について実施してまいります。  また、今回、国の森林環境税の負担に加え、県の森林づくり県民税の継続をお願いすることとなるため、それぞれの税の目的や使途、取組の必要性などについて丁寧に説明し、超過課税に対する御理解をいただけるよう努めてまいります。  さらに、森林づくり県民税の認知度に関しては、今回実施した県民アンケートにおきましても、税額、取組の内容まで理解されている方の割合は低く、従前からの課題と認識しております。活用状況については、みんなで支える森林づくり県民会議などでの取組紹介や情報発信の方法を工夫するとともに、県民の皆様が身近に親しめる里山づくりや町なか緑化などの取組を通じて、税を活用した取組の効果を感じていただけるように努めてまいります。  最後に、今期終了時における森林づくり県民税の基金残高の見込みについてです。  今期においては、里山整備利用地域の取組支援など、活用の使途を拡大し、令和元年度から3年度にかけては単年度税収額を上回る執行となるなど、5年間で合計39億1,000万円の執行を見込んでいることから、終了時の基金残高はゼロとなる見込みです。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、負担増となったとしても県民税の継続が必要との意気込みを伺いたいという御質問をいただきました。  県民の皆様方に税負担を求めるということについては、慎重に検討しなければいけないものだというふうに考えております。しかしながら、今、長野県の森林・林業は非常に重要な局面にあるというふうに考えております。一つは、林業の観点では、まさに林業県に本格的に転換をしていく上では、主伐・再造林の推進をしっかりと進めていくということが極めて重要だというふうに考えております。  また一方で、環境面での役割として、ゼロカーボン社会を目指す上では、吸収源としての森林資源は非常に重要だというふうに思っております。多くの方々に森林に関心を持っていただき、そして、一緒に守り育てていただく、そういった県に変えていくということが極めて重要だと考えております。  そして、こうしたことは、何年かかってもいいということではなく、今直ちに具体化しなければいけない、そして、速やかに取組を拡大していかなければいけないというふうに考えております。そうしたことから、県民の皆様方には、こうしたことを進める上で必要な財源として森林づくり県民税についての延長をぜひ御理解いただきたいというふうに考えております。  今、パブリックコメントを行っているところでありますし、市町村の皆様方、県議会の皆様方の御理解はもとより、県民の皆様方にも、県内4ブロックで説明会を開催させていただき、できるだけ広く多くの皆様方の御理解の中でこの継続ができるように全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上です。       〔37番小林東一郎君登壇〕 ◆37番(小林東一郎 君)林務部長から先ほど答弁をいただきましたけれども、森林税でどういう事業が行われているのかということがまだ県民がよく分かっていない。実に15年経過しようとするのにそれがまだ理解されていないという大きな問題点があるわけです。毎回お聞きすると、何とか工夫をして県民に伝えていきたいということは毎度毎度語られるわけですけれども、いまだにそういう状況が続いている。その辺はぜひ改善をしていただきたいというふうに思います。  今、長野県の林業は大変大きな転換期であって、主伐・再造林を進めていかなければいけない、そういう課題は私も共有をしているものだというふうに思っております。ただし、森林整備に充てる、そういった予算拡充を歓迎する声がある一方で、この25年間で半減した森林分野での就業者数等から、地域の林業事業者には業務を担い切れるのか懸念もあるというふうに報道されています。林業大学校の志願者は増える傾向にはありません。旧大北森林組合が引き起こした補助金不正受給事件の原因の一つは、現場への予算消化圧力であったとされており、予算執行の見込みが適切であるか慎重な判断が求められますが、知事に再度お聞きいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)お答え申し上げます。  大北森林組合の事案については、我々県組織全体として大きな反省点があるわけでありますので、しっかりその教訓は肝に銘じながら取り組んでいきたいというふうに思っております。  そういう意味では、今回超過課税をさせていただくわけでありますけれども、その執行段階におきましては、超過課税をしたからといって無駄な事業に使うことがないように、また、当然でありますけれども、不適正な執行が行われることがないように我々としては取り組んでまいりますし、また、先ほどお話がありましたように、森林・林業の担い手が足りないという課題は私も十分認識しておりますので、こうした取組を進める一方で、森林・林業人材の担い手確保については、これまでよりも踏み込んだ対策を講じることができないかということで今検討をしているところであります。  御指摘のとおり、一部だけ強化をしても全体として進捗が円滑にいかないということがあってはいけないと思いますので、全体として林業県への転換と吸収源としての森林の保全がしっかり進められるように取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔37番小林東一郎君登壇〕 ◆37番(小林東一郎 君)新型コロナウイルス感染症への対応について伺います。  オミクロン株に切り替わった第6波以降、陽性者数の増加に比して重症化の割合は大きく低下したとされています。その一方で、死亡者数は増えており、基礎疾患のある高齢者等への感染防止の重要性が言われてきました。軽症者に分類され、必要な医療につなげられることなく自宅療養中に亡くなられる方が首都圏などで続出し、厳しい状況を伝える報道に接するたびに、コロナ肺炎の症状を基準に重症度を図る考え方では救える命を救う対応は困難なのではと感じています。本県でも、特に第7波で死亡者数が顕著に増加しています。  危機管理部長に伺います。  第7波において、本県では医療非常事態宣言などが次々に発せられてきましたが、事務的な対応がほとんどだったように感じます。文字だけの情報では県民の心に届きにくいとの判断から、現場で感染症対策に当たる保健師による解説で県民の安心感を醸し出す工夫がされた鳥取県の動画、「少しでも体調がおかしいと感じたら連絡を!」のように、ビジュアル等を用いることで、本県でも感染予防を促す、特に高齢者がウイルスにさらされることのないよう県民に行動を変えてもらう対応が不足していたのではありませんか。  次に、健康福祉部長に伺います。  8月8日に医療非常事態宣言が発せられた時点での確保病床使用率は55.4%でしたが、確保病床以外への入院者が121名おり、これを加えた実質病床使用率と言うべき数値は63.7%に達していました。8月22日には、確保病床への入院者346名に対し、それ以外の病床入院者が過去最多の225人を数え、この場合の実質的な病床使用率は76.6%で、県が公表している66.5%を10%以上上回っていました。確保病床以外への入院が県が公表する病床使用率を押し下げているように映り、その結果県民の感染予防への意識にも影響を与えたとは考えられないでしょうか。  また、確保病床以外の入院とはどのような事態により生じ、第7波において確保病床入院者の6割にまで及んだその原因は何だったのでしょうか。  次に、知事に伺います。  現下のオミクロン株流行下では、救える命を救うとの観点に立てば、死亡するリスクの高い高齢者等がウイルスにさらされないよう県民が行動を変えていく、県がそれを促していく必要がありますが、県民の感染予防意識を高める上で、実質的な病床使用率を示していくことがその一助となるのではありませんか。  本年4月の診療報酬改定により、病床数が400床以上の病院では、初診の紹介割合が40%未満での減算規定が設けられています。  北信地域で唯一の総合的医療機関である北信総合病院は、一部診療科の医療資源が乏しいという地域独特の医療事情があることに加え、第7波で発熱外来の初診患者が急増、紹介割合40%を維持できない状況に陥っており、このままでは年間6,000万円もの減収が見込まれています。統括院長を先頭に、医療従事者、病院職員が懸命にコロナ診療や相談に取り組んでこられたにもかかわらず、制度の不備とも言える状況で窮地に立たされることがあってはならないと強く感じます。国に早急な対策を求めていただくのと同時に、制度上の改定がなされるまでの間、コロナ対策の国交付金を活用するなど、救済をお願いしたいのですが、健康福祉部長、いかがですか。  我が会派の小島代表の質問にもあった、知事の県政に臨む姿勢、「光が当たりにくいところに光を当てる」については、永遠に取り組んでいかなければならない課題として幅広く捉えるとの答弁があったところですが、少子化、人口減少が進む我が国にあって、困難を抱える子供・若者への対策とかコロナ禍で拡大する格差を縮めるための弱者支援こそすぐにでも光を当てていかなければならない課題であると私は考えます。
     社会的注目度の高まっている児童虐待や、いじめ、不登校への対応や、近年ようやく顕在化してきたひきこもりやヤングケアラー、ケアリーバーへの支援については、本人に寄り添うのはもちろん、家庭であったり、学校等の現場への適切な対応を行っていく必要があります。  県が主催したひきこもり支援フォーラム等に私が参加して感じるのは、支援される側が望んでいる支援の在り方が未確立、支援を担う側の力量不足や支援の間口があまりにも狭く限界がある、そもそも人材がいない、行政にも民間にもといった壁の存在です。これらを一つ一つ解決していくことが、知事の言われる光の当たらないところに光を当てるにつながるのではないでしょうか。知事の見解を伺います。       〔危機管理部長前沢直隆君登壇〕 ◎危機管理部長(前沢直隆 君)新型コロナウイルス感染症について、ビジュアル等を用い、それから、特に高齢者の行動を変えるための対応が不足していたのではないかという御質問をいただいたところでございます。  もとより、県が発出する感染防止対策に関する様々な呼びかけについては、とにかく伝えたい方に伝えたい内容を届けることが特に大事だというふうに認識しているところでございます。このため、第6波以降も、医療警報や医療非常事態宣言など医療アラートを発出するたびに、文書だけでなく、呼びかけのポイントをまとめたチラシを作成いたしまして、それを社会福祉施設や市町村に配ってそこから周知をしてもらうというようなことをやったり、県のホームページやSNSでも発信をいたしました。  さらには、インターネットを利用されないお年寄りもいらっしゃるということがございましたので、新聞広告、テレビ、ラジオの活用、それからポスターをつくって掲出するといったことにも取り組んでまいったところでございます。  ただし、今、議員から不十分ではないかというお話がございました。私も2年半コロナ対策に携わってまいりましたけれども、これはまさに災害である、危機管理対応であるという意識を持ってやっておりまして、危機管理対応にははっきり言って終わりがないというふうに思っておりますので、お声を聞きながら、また、折しも9月26日には全数把握の様式が一斉に変わるということで感染対策は転換期を迎えているという場面でもございますので、より一層ビジュアル等にも気を遣って工夫をした広報に努めてまいりたいと考えているところでございます。  以上です。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には二つ御質問を頂戴しております。  まず、確保病床以外への入院はどのような事態により生じたのか、さらに、第7波でこういう方が多くなった原因は何かと、こういう御質問でございます。  確保病床外で入院される方は、もともとコロナ患者受入れ病院以外の医療機関ですとか、あるいは受入れ病院でも確保病床以外の病棟などで入院されていた方でございまして、入院中にコロナ陽性が確認された場合がほとんどでございます。こうした場合、コロナの症状は大変軽い方もいらっしゃいますし、そもそも患者の基礎疾患の治療や転院による環境変化等も考慮いたしまして、可能な場合はその医療機関や病棟内で療養を続けていただいていることによるものでございます。症状の悪化が見られるなど必要が生じた場合には、確保病床への転院、転棟を行っているところでございます。  第7波において、こうした確保病床外の入院が多くなった原因でございますが、感染力の強いオミクロン株によって感染者の絶対数が増加し、院内での感染も増えたことに加えまして、ワクチン接種の進展や経口抗ウイルス薬の使用で重症化を防ぐことができるようになり、確保病床以外の病床でも十分対応が可能になったことなどが挙げられると考えております。  それからもう一点、新型コロナへの対応に伴う医療機関の減収についての御指摘でございます。  議員御指摘のとおり、新型コロナに対応する医療機関においても、紹介割合等が基準を下回った場合、初診料等の減算措置が行われることがあるということについては承知しております。県では、6月に、国に対し、新型コロナ患者への対応により収益の悪化した医療機関に十分な支援を行うよう要望を行ったところでございます。  なお、県で救済措置を行ったらどうかという御指摘でございますが、診療報酬上、疑い患者の外来診療に対する加算措置などもございます。また、そもそも昨年度の状況などを見ますと、医療機関によっては、いわゆる空床確保料などによりましてかなりの黒字となっているところもございます。  医療資源の少ない地域で奮闘する医療現場があることは十分承知をしているところでございますけれども、県が救済措置を行う必要があるかどうかについては、こうした国の加算措置や各医療機関の収支状況なども加味した上で、慎重に検討する必要があると考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)2点御質問をいただきました。  まず、新型コロナ対応の関係で、いわゆる確保病床以外に入院している人も含めて病床使用率を出すべきではないかという御質問であります。  対策の途中で、私も、そうした必要性があるのではないかということで少し検討したことがございます。ただ、確保病床外の病床に入院されている方は、先ほど部長からも申し上げましたように、もともとほかの疾患で入院されている方というのがほとんどであります。そうしますと、コロナとしての症状は軽くて、本来、在宅であれば、入院をするまでもないというような方も中にはいらっしゃる可能性があります。そういう意味で、全ての確保病床外の入院患者の方を使用率の算定に含めてしまうと、必ずしも実態を正確に表さない部分があるというふうに思っています。  また、現在の確保病床使用率の算定方法は全国統一で、いろんなメディア等でも確保病床使用率の一覧を出されているかと思いますけれども、同じ考え方でありますので、他県との比較もできるという状況であります。そういう意味で、確保病床使用率自体を変えるというのは、必ずしも適切ではないというふうに思っています。  ただ、これは専門家懇談会の中でも、確保病床以外でも入院されている方がいるという、コロナで入院されている方がいるというのは、当然、病床確保の観点ではなくて、医療機関に負荷がかかっているということだろうということで御指摘をいただいていますので、そういう観点で、確保病床外の入院者の方についても、毎日のように公表はさせてきていただいているところであります。ただ、なかなかそうしたものはメディアを通じて広く伝わっていない部分が確かにあるというふうにも思っています。  医療非常事態宣言の発出時等、折に触れては、こうした確保病床以外の入院患者であるとか、あるいは診療・検査医療機関の逼迫状況であったり、あるいは医療スタッフの欠勤状況であったり、こうしたこともお伝えをしてきているところでありますけれども、今後よりこうしたものがメディアを通じて、また、我々からも直接分かりやすくお伝えすることができるように工夫をしてまいりたいと考えております。  それから、私の公約に関連して、光が当たりにくいところに光を当てるというのは、先ほどひきこもり支援フォーラムのお話をいただきましたけれども、こうしたことにしっかりと向き合っていくことではないかという御質問をいただきました。  全く御指摘のとおりだというふうに思います。ひきこもりの方であったり、あるいはヤングケアラーの方であったり、あるいは不登校の子供たちであったり、非常に大きな困難を抱えているにもかかわらず、なかなかそうした声を上げにくい方たちが県内にも大勢いらっしゃるというふうに思っています。そういう観点では、まさにそうした皆様方の思いや声にしっかり寄り添っていくということが、光が当たりにくいところに光を当てていくということにもつながっていくというふうに思います。  先ほど、支援人材の話等もございました。こうした分野は、行政としての対応の方法が必ずしも確立していない分野でありますので、県組織としては、ともすると及び腰になりがちだというふうに思いますが、私としては、県民起点の県政を掲げているところでありますので、こうした国が制度化していない、あるいは確立した対応がしっかりできていない分野こそしっかりと県として取り組んでいくことが重要だというふうに考えております。  また、こうした分野を進めていく上では、行政だけではなくて、多くの支援者の皆様方、そして、当事者の皆様方との連携協力ということも重要だと思いますので、そういう観点では、まさに共創をしっかり進めるべき分野であるというふうに思っています。  御指摘いただいたことを十分に踏まえながら、こうした分野に対して、県としてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思いますし、多くの声なき声、そして、声が上げられない方の思いにもしっかりと寄り添って県政を進めていきたいと考えております。  以上です。       〔37番小林東一郎君登壇〕 ◆37番(小林東一郎 君)命を救うため、懸命に取り組んでるにもかかわらず、制度上の理由で経営に支障が出た場合、公立病院なら自治体の支援が当然なのに対し、公的病院は人件費削減でやりくりをせざるを得ないのが現実です。  現場の実情を酌み取った上で必要な支援をお願いし、さらには、光の当たらないところ、これは、今知事におっしゃっていただいたことですが、しっかり予算づけをしていただいてお取り組みいただきたい。その点をぜひお願いして、質問を終わります。 ○議長(丸山栄一 君)次に、加藤康治議員。       〔6番加藤康治君登壇〕 ◆6番(加藤康治 君)初めに、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行への対応について伺います。  新型コロナウイルスの第7波はピークを越えたとの見方がありますが、今後、冬を迎えるに当たり、年末年始の新型コロナの感染再拡大や季節性インフルエンザとの同時流行が懸念されます。  ここ2シーズン国内においてインフルエンザは流行しておらず、ウイルスの抗体を持っていない方が多くいることも想定されるため、今シーズンの流行が十分あり得るとの見解を示されている専門家もいます。また、インフルエンザの流行を経験したことのない2歳以下の子供もおり、感染による重症化も心配されます。  現に、今年6月頃には、冬を迎えていた南半球のオーストラリア等でインフルエンザ患者が急増しました。県内においても、今月、今年初のインフルエンザの集団感染が確認されたところであり、十分な対策を講じる必要があります。  そこで、何点かお伺いをいたします。まず、県内における過去2シーズンの季節性インフルエンザの流行状況と、今シーズンの流行に関する県としての見解について伺います。  インフルエンザの感染防止のためには、ワクチン接種が有効です。来月からインフルエンザの予防接種が開始となりますが、新型コロナの予防接種が行われている中、インフルエンザの予防接種をどのタイミングで行えばよいのか、新型コロナと同時に接種しても大丈夫なのか分からないとの声を県民からお聞きします。そこで、新型コロナと季節性インフルエンザの予防接種の同時接種等の見解について伺うとともに、接種に関し、県民へ分かりやすく周知すべきと考えますが、どのように行っていくか。伺います。  同時流行による医療機関の負担軽減を図るとともに、インフルエンザ感染者の重症化を何としても防いでいかなければなりません。そこで、市町村と連携し、高齢者や子供など重症化リスクの高い方を中心に季節性インフルエンザ予防接種の助成を検討すべきと考えますが、御所見について。以上を健康福祉部長に伺います。  次に、物価高騰への対応について伺います。  ロシアのウクライナ侵略等により、原油をはじめとするエネルギー価格や食料品などが高騰し、さらに急激な円安が追い打ちをかけ、県民生活や中小小規模事業、農林業などに幅広い影響を及ぼしていることを踏まえ、公明党長野県議団では、これまで、4月と5月の2回にわたり、阿部知事に対し、物価高騰から県民生活を守るための緊急要望を行ってきました。  しかし、その後も、ウクライナ情勢の先行きが見通せない中、県内においても物価高騰が加速化している状況です。県民や中小企業などの声をしっかりと受け止め、地域の実情に応じたきめ細かな対策を継続して行う必要があることから、今月8日に緊急要望第3弾として取りまとめ、改めて知事に要望を行ったところです。  国においては、今月9日、物価高に対応するための追加策を決定するとともに、来月中の総合経済対策の策定に向け、現在、検討を行っています。県では、今回、長野県価格高騰緊急対策第二弾を策定するとともに、事業を行うための補正予算案を計上しています。長野県経済と県民生活を断じて守るため、国の施策を十分活用し、必要な対策を果断に実行するよう強く求めるものであります。  そこで、何点かお伺いいたします。  地域経済を支える重要な社会インフラである物流の維持は大変重要です。前回6月議会において、トラック運送について、燃料価格高騰に係る運賃への転嫁状況を踏まえ、トラック事業者など物流事業者に対する燃料費の支援を実施すべきではないかと質問をさせていただきました。今回の補正予算案には、安定な物流輸送の確保を図るため、燃料サーチャージ制の周知等に必要な広報啓発費が盛り込まれています。  そこで、事業の概要について伺うとともに、今回の広報を通じて実際の価格転嫁につながったのか効果検証を行い、その状況を踏まえ、燃料費への支援も検討すべきと考えますが、いかがか。企画振興部長に伺います。  物価高騰の影響はあらゆる業種に及んでいますが、観光業や飲食業については、物価高騰に加え、新型コロナの第7波による影響が生じていたり、事業再構築を行おうとしても、現実的には実施が難しいホテルや旅館、飲食店等があります。  新型コロナの感染が拡大している状況下においても、オミクロン株の特性を踏まえ、感染防止対策を取りながら社会経済活動は維持されていますが、同じ飲食店でも、例えば、若者を主な客層とする店では集客が好調な一方で、企業等を主な客層とする店では売上げが減少しているなど、同じ業種でも集客に差が生じています。  今後、新型コロナの感染再拡大も懸念される中、売上げが減少している飲食店に対し、県としても何らかの支援策を講じる必要があると考えますが、いかがか。産業労働部長に伺います。  また、来月11日からは、近場の旅行に対して支援する県民割の対象旅行先を全国に広げる全国旅行割が開始される予定となっており、観光需要の一層の喚起が期待されています。コロナ禍の影響もあり、個人旅行が増える中、貸切りバスや公共交通機関を活用した旅行が減少しているとの声をお聞きします。  そこで、このような状況を踏まえ、観光面での交通事業者への支援が重要と考えますが、全国旅行割や県がこのたび実施する交通クーポン事業により今後どのように支援を行っていくか。観光部長に伺います。  デジタル社会の構築に欠かせないマイナンバーカードのさらなる普及促進を図るため、現在、1人最大2万円のポイントが取得できるマイナポイント第2弾が行われています。食料品等の値上げが続く中、物価高騰対策としてもメリットがあり、大いに活用すべきと考えます。  しかしながら、県民の方とお話をしていると、マイナポイント事業について御存じでなかったり、あるいは、御存じであっても、申請の方法が分からずポイントを取得できていない。また、ポイントが付与される決済サービスを持っていない方も多くいらっしゃいます。  そこで、市町村と連携し、マイナポイント第2弾の内容や申請方法の広報を強化するなど、マイナポイントを活用できるような丁寧な対応を行うべきと考えますが、いかがか。企画振興部長に伺います。  エネルギー価格の高騰が続く状況を踏まえ、今後、冬を迎えるに当たり、電気やガス料金、灯油代の支援等、暖房費に対する県民の支援について知事に要望をさせていただきました。その際、国による住民税非課税世帯への給付金事業が今後行われますが、僅かな収入の差で給付の対象にならない県民もいるため、そのような世帯にも支援が行き届くような丁寧な対応をお願いしたところです。  今回の補正予算案には、住民税所得割の非課税世帯等を対象に、家計負担軽減のための生活困窮世帯緊急支援金事業が盛り込まれています。国の給付金事業を補完する形となっており、評価するところですが、市町村と連携し、対象世帯への速やかな支給が重要と考えます。今後どのように行っていくか。知事に伺います。  また、国の給付金事業では、本人が非課税でも、住民票に課税者がいて課税者の扶養には入っていない方や、別居家族の扶養になっている場合は支給の対象外となっています。今申し上げたような非課税の方であっても、制度のはざまで国の支援策の対象にならない方については県による支援の対象にするなど柔軟な対応を行うべきと考えますが、御所見について健康福祉部長に伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には合計4点の御質問を頂戴しております。順次お答えを申し上げます。  まず、季節性インフルエンザの過去2シーズンの流行状況と今シーズンの流行に関する県の見解についてという御質問でございます。  季節性インフルエンザの流行状況でございますけれども、県内87の指定届出機関、いわゆる定点医療機関から毎週報告される患者数で把握をしております。過去2シーズンは、いずれのシーズンも1週間の定点医療機関当たりの患者数が流行開始の目安である1人を超えず、流行せずに終息したところでございます。  今シーズンにつきましては、まず、日本感染症学会の提言によりますと、これは御質問の中でも御指摘がございましたが、南半球の国々では例年を超える患者数が報告されていること、過去2年間国内での流行がなかったことから、社会全体の集団免疫が低下している可能性があること。今後、海外からの入国が緩和されることにより、国内へウイルスが持ち込まれる可能性が高いことなどが指摘されておりました。また、本県においても既に児童福祉施設で集団発生が確認されていることなどから、季節性インフルエンザが流行する可能性は十分にあるものと認識をしております。  引き続き、全国や県内の発生動向を十分に注視し、国の方針も踏まえながら、新型コロナウイルスとの同時流行も想定した対策を進めてまいります。  次に、新型コロナワクチンと季節性インフルエンザワクチンの同時接種などについての御質問でございます。  この同時接種につきましては、単独で接種した場合と比較して有効性及び安全性は劣るものではないとのデータがあることを踏まえまして、国の審議会において議論された結果、同時接種が可能とされたところでございます。  この冬は、先ほど申し上げましたとおり季節性インフルエンザの流行が懸念されていることから、高齢者など重症化リスクの高い方や接種を希望する方は、流行期前に接種していただくことが望ましいと考えております。  10月からは、オミクロン株に対応する新型コロナワクチンの接種の本格化に加えまして、季節性インフルエンザワクチンの接種も開始されるところでございますが、県民の皆様が不安なく接種できるよう、双方のワクチンについて連携して広報を行うなど、市町村とも協力しながら広く周知をしてまいりたいと考えております。  それから、予防接種費用の助成についての御質問でございます。  季節性インフルエンザワクチンは、発症そのものを完全に防ぐことはできませんが、重症化予防効果が期待されておりまして、特に、肺炎で重症化しやすい高齢者に対して既に定期接種として実施をされているところでございます。  御質問の予防接種費用の助成につきましては、65歳以上の高齢者など重症化リスクの高い定期接種の対象者は既に安価で接種が可能であること。また、今年度の定期接種事業の準備は既に進んでおりまして、現場に混乱をもたらすおそれがあることなどから、今年度の実施は予定しておりません。  なお、今年度の季節性インフルエンザワクチンの供給量は過去最大の約3,521万本が見込まれており、比較的早期に供給される予定となっております。  県といたしましては、接種を希望される定期接種対象者の方は早めに接種していただくよう、また、より多くの県民の皆様に検討していただくよう、市町村とも連携しながら周知を行ってまいりたいと考えております。  それから、物価高騰への対応に関しまして、国の給付金の対象とならない方のお取扱いについての御質問をいただいております。  国の給付金につきましては、住民基本台帳における世帯単位で支給する制度となっておりまして、個別の世帯員が住民税が非課税であっても、住民税課税世帯と同一世帯と考える場合は支給の対象外としているところでございます。  今般、補正予算案を提出した県の支援金におきましても、国の給付金と同様に世帯単位の制度を予定しておりまして、御指摘の事例につきましては県の支援金の対象とすることは考えておりません。  県といたしましては、国の給付金より所得のある世帯や家計が急変した世帯を対象世帯とすることで、より広く支援を実施することとしているところでございます。今回の支援対象とならない方で、生活にお困りの状況にある場合は、例えば、まいさぽにおける支援など、きめ細かな対応を行うことで対応をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔企画振興部長清水裕之君登壇〕 ◎企画振興部長(清水裕之 君)私には2点お尋ねをいただきました。  まず、燃料サーチャージ制周知のための事業の概要と実施後の対応についての御質問です。  トラック運送業において、燃料価格高騰分を適切に価格に転嫁するためには、荷主企業等の理解が不可欠です。一方、多くの運送業者は中小事業者であるために、円滑な価格交渉が難しく、運賃への転嫁が進んでいないものと承知しております。  9月補正予算案には、県トラック協会が実施する価格転嫁への理解を促す広報啓発費を支援するための予算を計上しております。具体的には、新聞、テレビ、ウェブ広告等を活用し、荷主事業者へは燃料サーチャージの導入を、一般消費者へは運送事業の必要性や現状への理解を求めていく予定です。事業終了後には、トラック事業者に対するアンケート調査により、価格転嫁の実態を確認してまいりたいと考えております。  今後とも、トラック協会から丁寧に実情をお伺いしながら、燃料価格上昇分が適正に価格に反映されるよう、本事業を速やかに実施するとともに、別途計上しておりますトラック事業者に対するエコタイヤ導入経費への支援と併せ、安定的な物流輸送を確保してまいります。  続きまして、マイナポイントの活用についての御質問です。  国が実施しているマイナポイント第2弾は、マイナンバーカードの普及や消費活性化等に有効であると認識しており、価格高騰緊急対策第二弾においても、県内消費の拡大に資するものとして、広く県民の皆様にカード取得、ポイント利用を呼びかけているところです。  このため、県の事業として、市町村と連携しながら、7月から9月末までに県内各地の商業施設など34か所で出張窓口を臨時に開設し、県民の皆様のマイナンバーカードの申請、マイナポイントの申込みの手続を支援しております。  また、マイナンバーカードの交付事務等を担う市町村が効果的に取組を推進できるよう、マイナンバーカード普及促進会議を開催しており、県からは私や地域振興局長、市町村からは副市町村長が出席して、普及に当たっての課題の共有や、工夫した取組事例の横展開を行っております。  今般、ポイント付与の対象となるマイナンバーカードの申請期限が今月末から12月末に延長されたことも踏まえ、引き続き県民の皆様の手続の支援や市町村の取組の支援などを通じてマイナポイントの活用を促進してまいります。  以上です。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)売上げが減少している飲食店に対する支援策についてのお尋ねでございます。  議員の御指摘にありましたように、新型コロナ第7波におきましては、感染防止対策の徹底と社会経済活動の両立を図るべく取り組んでいるものの、飲食店の需要はコロナ禍前のように回復していない状況でございます。  現在、消費喚起につきましては、市町村が県からの交付金等を活用し商品券を発行するなど、事業者の支援を行っておりますが、そのうち大多数が年内に利用期限を迎えることから、切れ目ない消費喚起を行うため、本定例会においてプレミアム食事券発行の予算をお願いしているところでございます。  他方、コロナ禍の長期化に伴い、社会全体の価値観や消費動向等も多様化しつつあることから、新たな顧客ニーズを踏まえた持続可能な経営形態への転換が必要であると考えております。既に、県では、国の中小企業等事業再構築促進事業及び中小企業生産性革命推進事業に対して県独自の上乗せ補助を行ういわゆるプラス補助金や低利融資により経営形態の転換を後押ししているところでございます。  今後とも、業況の把握をしっかりと行うとともに、事業者が需要の変化に柔軟に対応できるよう、商工団体や金融機関、県産業振興機構など、関係機関と連携して、必要な支援に努めてまいります。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕
    ◎観光部長(渡辺高秀 君)私には、交通クーポン事業等によりどのように支援を行っていくのかというお尋ねでございます。  県では、これまで、燃料価格高騰に対する負担軽減のため、バスやタクシー事業者等に対し経営支援を実施してきたところでございますが、バス等を利用した旅行の需要回復には時間がかかっているものと認識してございます。  このため、バスやタクシー、鉄道事業者の皆さんと意見交換を重ね、本県独自の制度として、交通クーポン券の配付による利用促進事業を10月1日からスタートいたします。現在、73の県内交通事業者からクーポン券を利用できる134の旅行商品を登録いただいているところでございまして、例えば、自家用車を宿に置いて、タクシーやバスによるワイナリーや酒蔵巡り、観光ガイドタクシーやバス等による地域ならではの観光スポットの周遊など、今回の事業をきっかけに今後の利用促進につながる新しい商品も多く造成をいただいているところでございます。  今後、10月からスタートする秋の観光プロモーションや、全国に拡大する信州割SPECIALと併せて、本県独自の交通クーポンについても、新聞広告や首都圏等のデジタルサイネージ等の活用により広くPRし、県内交通機関の利用を促進してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、生活困窮世帯緊急支援金(仮称)をどう支給をしていくのかという御質問を頂戴いたしました。  支給方法等の詳細につきましては、国の給付金の支給方法等を踏まえて決定していきたいというふうに考えておりますが、マイナンバーを利用して支給対象者に対しプッシュ型で通知を行うなど、県民の皆様方の負担ができるだけ小さくなるよう検討しているところでございます。  支援金の支給は、市町村の御協力が必要でございます。説明会を早期に開催し、市町村と緊密に連携を図る中で、できるだけ早期に支給ができるように取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔6番加藤康治君登壇〕 ◆6番(加藤康治 君)新型コロナの第7波は、想定した以上の過去に例のない感染拡大となってしまいました。インフルエンザとの同時流行につきましても、予期せぬことが起こるとも限りませんので、しっかりと準備をしていく必要があります。県民の命や健康を守るため、医療機関の体制整備、検査キットや治療薬の確保、ワクチン接種の推進等、県としても対応をお願いしたいというふうに思います。  また、物価高騰への対応についてでございますけれども、国の給付金事業を補完する形で県による支援金事業を決断していただいたことに対しまして心より感謝を申し上げますけれども、やはり重要なのはスピーディーな支援だというふうに思います。暖房費をはじめとして様々な支出が増える年末年始にかけて、県民の皆様が一番支援を必要としているときだと思います。知事からもスピーディーな給付を行っていくという答弁がございましたけれども、市町村とも連携していただきながら、早期の支給ができるようお取り組みいただくことを切にお願いいたしまして、一切の質問といたします。ありがとうございました。 ○議長(丸山栄一 君)次に、両角友成議員。       〔28番両角友成君登壇〕 ◆28番(両角友成 君)日本共産党県議団の両角友成です。私は、発言通告に沿って一般質問を行います。  まず初めの質問項目は、「国のマイナンバーカードの普及促進に対する県の姿勢は」であります。  マイナンバーカードが導入されて6年、毎日普及促進のテレビコマーシャルを流す。マイナンバーカードはこれからの暮らしに手放せない1枚と、各個人にマイナンバーカード交付申請の案内が再度郵送されるなど、多額の税金が使われています。プラス、最大2万円のポイントまで付与する。しかし、取得率は50%に満たない状況です。  これを受け、今度デジタル相になった河野氏は、マイナンバーカードを保険証として利用させて、なるべく早いうちに健康保険証を廃止したいと、事実上、同カードの取得強制につながる方針を表明。さらに、市民カード化を進めるとして、運転免許証としての利用や交付金の受け取り口座とのひもづけも進めようとしています。  マイナンバー制度は、もともと税、社会保障、災害の3分野に限定され、カードの取得は任意であり、義務ではありません。しかし、なし崩し的に利用範囲が拡大され、取得が強制されようとしています。国による全国民の所得や資産、医療や教育などあらゆる分野の膨大なデータが集積されることになります。  個人情報の漏えいや悪用が懸念され、中でも、医療データは究極の個人情報と、マイナ保険証システムの問題点を6月定例会で指摘いたしました。同時に、マイナンバーカードの機能をスマートフォンに掲載することに対する県の姿勢を正したところ、答弁では、様々な行政手続やサービスを利用可能にし、利便性を向上させると肯定的でしたが、現実には、KDDIが今年7月2日通信障害を発生させてしまい大混乱。ユーザーへの返金に至りました。国中が混乱する。このような通信障害を経験したわけですが、それでも県の認識に変化はありませんか。企画振興部長に伺います。  続けて、国は、マイナンバーカードの普及率を地方交付税算定に反映するとまで言い出しています。取得はあくまで任意のはずです。今の国の動きは問題が多過ぎるのではないでしょうか。国の普及促進に対する県の姿勢を知事に伺います。       〔企画振興部長清水裕之君登壇〕 ◎企画振興部長(清水裕之 君)マイナンバーカード機能のスマートフォン搭載に関する県の認識についてお尋ねがありました。  6月定例会におきましては、議員から、マイナンバーカード機能のスマートフォン搭載に関する個人情報漏えいの懸念について御質問をいただき、私からは、カードの高いセキュリティーレベルを保持しながら利便性を向上させることにつながる旨の認識をお答えさせていただきました。  その後、7月2日から4日にかけて、全国でKDDI株式会社が提供する通信サービスが利用しづらくなるという障害が発生しましたが、こうした障害によって、マイナンバーカード機能において施されている様々なセキュリティー対策が阻害されるわけではないため、前回のお答えと同様、高い安全性が確保されるものと認識をしております。  一方で、このような大規模な通信障害は社会全体に大きな影響や被害をもたらしかねないことから、先月、全国知事会から国に対して、デジタル社会の実現に向けた提言として、通信事業者間の連携強化などによる障害発生時のバックアップ体制の構築についても要請が行われました。  国においては、今後、通信障害等の非常時においても継続的に通信サービスを利用できる環境の整備に向けて検討を行うこととしており、通信事業者の取組と併せて、国の動向も注視してまいりたいと考えております。  以上です。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)マイナンバーカードの普及促進に対する県の姿勢についてという御質問でございます。  マイナンバーカードは、これからのデジタル社会の基盤となるツールでありまして、現在でもワクチン接種証明書がスマホで取得できる、また、住民票の写しなどがコンビニで取得できる、確定申告がオンラインで行えるなど様々な場面で活用されているところでございます。  また、来年4月からは、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるよう、医療機関でのオンライン資格確認が原則義務化されますし、令和6年度末には運転免許証と一体化するなど、利便性向上のための取組が行われているところでございます。  マイナンバーカードの普及につきましては、価格高騰対策として、マイナポイントの取得を行っていただく上でも重要というふうに考えておりますので、引き続き市町村と協力しながらマイナンバーカードの普及に努めていきたいと考えております。  以上です。       〔28番両角友成君登壇〕 ◆28番(両角友成 君)県民益から見ますと、マイナンバーカードの普及について、ある知事は、国の制度なのに都道府県に責任を負わせ、成績が悪ければ補助金、交付金を冷遇するというのは、ほとんど恫喝する形で、アプローチが間違っていると批判をしていますが、まさにそのとおりではないでしょうか。1回限りのポイント付与も、複数回申し込めた人が500人以上の報道。国はばら色に描きますが、とても心配ですと申し上げ、次の質問に移ります。  次の質問項目は、再生可能エネルギーの普及、小水力発電についてであります。  今年の9月末まで、節電期間として、企業や家庭に節電の協力ポイントまでつけて要請している現実があります。この夏の電力不足は、再エネと省エネの推進を怠ってきた現政権の責任です。日本も参加している再生可能エネルギーの国際会議、IRENAが、3年前に、「新たな世界」という報告書で、化石燃料に大きく依存しエネルギーの移行に対応できない国はリスクにさらされると警告していましたが、日本はまさにこの警告どおりになってしまったと言わざるを得ません。  EUは、この夏、2030年までに再生可能エネルギーの導入目標を発電の65%から69%に引き上げると前倒しを決めました。これが世界の流れです。地球温暖化防止の観点から、二酸化炭素が排出される石炭火力と、安全性が問われ再稼働するべきでない原子力は避けるべきです。県として、県内ポテンシャルが高い小水力発電の普及にもっと積極的に取り組むべきではないでしょうか。  再生可能エネルギーの普及が環境を守り、新たな産業、雇用の場を創出すると、昨年6月定例会で指摘させていただきました。県は、小水力発電事業に対して、平成24年から始まった固定価格買取り制度に合わせ、地域密着型小水力発電の進め方の手引きを示したり、小水力発電相談窓口を建設部河川課に設置し、また、国に対しては、小水力発電推進に必要な水利権などに対する改革を求めてきたものと承知していますが、河川、非河川を含めた小水力発電の現状と、普及を進めるための課題について環境部長に伺います。  また、企業局の持つ小水力発電に関するノウハウを基にこれまで市町村等への支援に取り組んできたと思いますが、企業局の取組の状況はどうか。須藤企業局長に伺います。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)小水力発電の現状と普及を進めるための課題についてのお尋ねでございます。  長野県は、河川の高低差が大きいことなどから、小水力発電に適していると言われており、環境省の2019年度の調査によれば、なお約31万キロワットのポテンシャルがあるとされております。2020年度までに県内に導入された設備容量は96万キロワットでございまして、長野県ゼロカーボン戦略では、2030年度に向けて約7万キロワットの増を目指すこととしております。  小水力発電の課題といたしましては、初期費用が大きいことが一つ。もう一つが、技術面、手続面のノウハウが不足していることであろうかと考えております。このため、資金面に関しては、昨年度上限額を引き上げて収益納付型補助金で支援しているほか、技術面、手続面に関しましては、議員からも御紹介がありましたように、企業局、建設部、環境部等の関係部局で構成する小水力発電キャラバン隊を編成し、事業者等に向けた相談会や講習会を開催しているところでございます。  今後も引き続きこうした支援を行っていくほか、地域と調和した再エネを誘導するために市町村が設定いたします促進区域に関して、太陽光に続いて小水力についても県基準を策定するとともに、環境省が提供するポテンシャルデータをより有効に活用できるような見える化の検討も進めてまいります。  以上でございます。       〔公営企業管理者職務執行者・企業局長須藤俊一君登壇〕 ◎公営企業管理者職務執行者・企業局長(須藤俊一 君)小水力発電の普及に係る企業局の市町村等への支援の状況についてお答えいたします。  企業局では、これまでに蓄積した技術を活用して、小水力発電を計画する市町村、団体等の事業者への支援を行い、再生可能エネルギーの普及拡大に努めてまいりました。具体的には、企業局内に発電所建設の経験を持つ職員を中心とした中小規模水力発電技術支援チームを設け、市町村等からの技術相談を受けるとともに、技術的な観点から事業開始までの手順や、運転・保守管理等の基礎知識について解説した水力発電推進マニュアルを作成、公開し、ノウハウの普及を図ってまいりました。  また、先ほどの環境部長の答弁のとおり、部局横断の小水力発電キャラバン隊に参加し、出張相談会や技術講習会の開催により事業計画の策定を支援してまいりました。こうした活動を通じまして企業局が技術面での支援を行った件数は、平成24年度以降、延べ56件、うち4件で、発電所の運転を開始しております。  今年度は、新たに三つの発電建設事務所を設置して、現地機関を県内計5か所とし、支援を希望する事業者がより身近なところで相談できる体制を整備したところであります。今後も、脱炭素社会の実現に向け、市町村等の要望を踏まえた支援を積極的に行ってまいります。       〔28番両角友成君登壇〕 ◆28番(両角友成 君)答弁をいただきました。進捗状況をまたどこかのタイミングでお聞きしたいと思います。  次の質問に移ります。次の質問項目は、赤字ローカル線と指摘されたJR大糸線をいかに存続させるかであります。  JR西日本は、4月11日に、利用者が少ないローカル線の収支を初めて公表しました。対象となった大糸線の地元自治体である新潟県糸魚川市の米田徹市長は、通学通勤だけでなく、観光、産業、防災などで地域に欠かすことのできない大切な公共インフラだと強調しました。  今年開業65年の大糸線をめぐっては、昭和40年、松本市から糸魚川までの沿線自治体でつくる期成同盟会をはじめ、大町市から糸魚川市までの沿線でつくる大糸線活性化協議会、安曇野市、池田町、松川村、大町市、白馬村、小谷村でつくる大糸線ゆう浪漫委員会が主に活性化に向けて活動を展開しています。  そもそも国は、1987年(昭和62年)、国鉄分割民営化の際に、これ以上のローカル線廃止は認めないと表明しました。しかし、全国を見ると、その約束に背いてきており、国の重大な裏切りです。  私たち会派と小林君男議員で、8月29、30日に、大糸線を実際に利用しつつ、視察及び沿線首長の皆さんと懇談を行いました。  1日目は、松本発9時55分の各駅停車大町行きにて大町市に。そして、徒歩にて大町市役所へ。副市長等との懇談では、大糸線は地域の足であること。南小谷から糸魚川市までは電化されておらず、ディーゼル機関車であること。JR西は8割が観光客であること。JR西の6億円余の赤字公表で全国から注目され、190名くらいであった大糸線応援隊が2,000名を超えたこと。全国とつながっているからこそ鉄路の意味があること。いかに乗ってもらうか、まずはどういうことができるのか、自分たちで何の努力もしないでと言われないように知恵を出したい。「風と走れ、大糸線」を合言葉に。  懇談後、糸魚川まで行こうとしましたが、連絡がうまくいかず、平岩駅にて下車。宿を取り、翌朝9時30分に平岩駅発、南小谷駅下車、小谷村役場へ。日程調整していただき、朝9時までに役場に来庁すれば1時間村長が時間を取ってくれることとなりましたが、そうすると、私たちが予定した9時30分の一つ前の列車は、何と平岩駅発6時50分とのこと。小谷村の職員と、これは無理かなとなりました。  当日、小谷村役場では、地元住民の皆さんを対象にしたJR西による住民懇談会が開催されており、傍聴させていただきました。塩の道8コースがあるなど観光の財産がある。大阪まで新幹線が開通すれば糸魚川から関西のお客さんが期待できるのでは等。  村長との懇談では、バス代替案ありきでの議論には乗らないことを確認し、懇談会を行うことにした。村だけの振興会議を立ち上げたこと。今回の報道が出て、利用客が増えた気がしている。乗り継いでの白馬村では、住民に危機感がある。白馬高校を守るためにも大糸線は必要。新宿までのあずさは白馬駅始発であるが、今年になって白馬駅にみどりの窓口がなくなり、切符を買うのが大変。自販機の前に列ができ、後ろに並ばれると焦ってしまい余計に大変。グリーンシーズンは、午後5時には駅にお客さんがいない状態。無電柱化を進めるなど、駅中心の村づくりを進めている。確かに駅前はすっきりしていました。長野冬季オリンピックから24年たった。今はオールシーズン化を目指している。県には二次交通に対する支援をお願いしたいとの要望もありました。  3市村と懇談し、肌で感じたのは、存続に地元も力を尽くしますとの強い思いでした。大変ですが、これまで以上に地元の市町村、当事者として関わっていくことが重要と考えます。大糸線は、住民の貴重な交通手段であるとともに、観光面でも重要な役割を果たしており、地域振興にとってとても大切ですが、県の役割として、JRや国に対する働きかけも含め、どのような取組を行っていくのか。知事に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)大糸線の存続についてどう取り組んでいくのかという御質問でございます。  大糸線は地域にとって重要な路線であるとともに、全国的、広域的な鉄道ネットワークの一端を担っているわけであります。また、県としても、平成7年の豪雨災害の復旧には多額の財政負担をして支えてきた路線であります。また、今後は、北陸新幹線の延伸によりまして、関西方面との交流拡大にも寄与し得る路線だというふうに考えております。  コロナ禍によりまして、利用促進に向けた取組を十分に行うことができなかったことから、まずは沿線自治体やJRを含めた関係者と一体となって、地域の皆様の生活利用や、コロナ禍から回復しつつある観光客の利用の促進に取り組んでいきたいと考えております。  また、地域の足を確保する観点で、新潟県、沿線自治体など関係者と十分な意思疎通を図りつつ、地域の皆様方の思いに寄り添いながら、必要に応じてJRや国への働きかけを行ってまいります。  以上です。       〔28番両角友成君登壇〕 ◆28番(両角友成 君)昨日の代表質問に立たれた皆さんも、それぞれこの問題を取り上げていらっしゃるくらいやはり関心が高い。沿線住民の皆さんは、本当に県がどうしてくれるのかということを注目していると私は思います。  JR3社、東海、東、西は、赤字ローカル線廃止をもくろむが、コロナ禍でも5兆円の蓄え。コロナ禍で大幅に利用者が減ったとされる21年度でも、東海は3兆2,620億円、東日本1兆5,349億円、西日本は2,836億円となっています。  今回のローカル線存廃の動きに、地方自治体からは、協議の場で廃止を迫ることになるのではと危惧する声が上がっています。事実、斉藤国交相は、半分以上の路線が残ると発言したと報じられていますが、これは、半分程度の路線が廃止されると表明したことになるのではないでしょうか。  持続可能な地域社会づくりの基盤であるローカル線を存続させ、鉄道の全国ネットワークを維持し、地域の再生・活性化を目指すために国がイニシアチブを発揮し、地域住民の移動権を守る立場に立つことが求められていると強調し、質問といたします。ありがとうございました。 ○議長(丸山栄一 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時42分休憩          ──────────────────         午後2時58分開議 ○議長(丸山栄一 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  小林君男議員。       〔2番小林君男君登壇〕 ◆2番(小林君男 君)安倍元首相の銃撃事件を契機に、旧統一教会と政治の在り方が問われています。  反社会的カルト集団と言われるように、正体を隠して勧誘活動を進め、霊界の存在を信じ込ませ、霊感商法などで高額の印鑑やつぼを購入させてきました。表面に現れている被害総額だけでも1,237億円に上り、また、信者同士の集団結婚も相変わらず行われており、多額の寄附金や信者二世の被害も深刻です。  そして、統一教会には、もう一つの顔があります。反共の価値観を広める政治の実現を目指す、協会と表裏一体の国際勝共連合で、選挙妨害や謀略ビラの配布なども全国で展開してきています。  さて、自民党は、国会議員の約半数の179人が接点があったと公表し、また、県内市町村の首長や議員、そして県会議員の皆さんも接点を持っており、地方政治にも深く関わってきています。自民党と勝共連合は、憲法を変えることや、ジェンダー平等攻撃などで一致し、有力な政治家が繰り返し彼らの機関紙などに登場し、お墨つきを与え、霊感商法や集団結婚など深刻な被害を拡大する役割を事実上果たしてきました。  また、パーティー券の購入、選挙応援などが、霊感商法や信者からの多額の献金を元手に行われた事実もあり、政府や自民党は、地方議員も含め、この反社会的カルト集団との親密な関係を真剣に調査し、国民にその全容を明らかにすることが求められます。  そこで、知事に伺います。  旧統一教会と政治の関わりは、県民の政治不信をより深めるものであり、知事はどう受け止めておられるのか。また、知事自身の協会や関連団体との関係については全くないとされているが、事細かく点検されたのか。本当になかったのか。改めて表明されたい。  県は、寄附金の返還を行ったことを発表しているが、県教委をはじめとする県機関について、協会や関連団体が行うイベントへの対応状況などを徹底して調査し、明らかにされたいが、いかがか。総務部長に伺います。  霊感商法や多額の寄附などでの深刻な被害者の救済について県はどのように対応しているのか。また、相談窓口を設置すべきと考えるが、いかがか。県民文化部長に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)旧統一教会との関係についてという御質問でございます。  まず、世界平和統一家庭連合につきましては、過去において、その活動の一部について違法との司法判断が示された事例があるほか、現在も継続中の訴訟が複数ある旨の報道がなされていると承知をしております。  政治家がこうした団体に関与をすることは、当該政治家がその団体の行為を認めている、あるいは支持しているという印象を住民に与えますし、また、結果的には当該団体を支援することにもつながりかねないというふうに考えております。  私との関わりでありますが、イベントや会合などへの参加、後援会に対する寄附、選挙対策本部関係者との接触の有無などにつきまして、8月下旬に調査した結果、関わりがないということを確認しているところでございます。  以上です。       〔総務部長玉井直君登壇〕
    ◎総務部長(玉井直 君)私には、旧統一教会と県との関わりについての御質問でございます。  県におきましては、現地機関を含む知事部局に加えまして、教育委員会など他の任命権者も含め、世界平和統一家庭連合及びその関連団体との関わりについて8月下旬に内部調査を実施をいたしました。  調査項目は、当該団体が主催、共催する行事に係る県の共催、後援の有無、当該団体からの資金や物件による寄附の受領状況、補助金、負担金の交付の有無、県表彰規則による賞状及び感謝状の当該団体に対する交付状況等につきましてでございます。  調査の結果でございますが、先般報道発表いたしましたが、ふるさと信州寄附金で受領いたしました寄附12万870円の1件のみでございまして、他に該当する案件はございませんでした。  以上でございます。       〔県民文化部長山田明子君登壇〕 ◎県民文化部長(山田明子 君)霊感商法などの被害者の救済と相談窓口の設置についてのお尋ねでございます。  いわゆる霊感商法などの消費者トラブルにつきましては、県の消費生活センターで相談を受け付けております。このうち、開運グッズを購入したが高額なので断りたいというような消費者と事業者の間の消費者トラブルの相談につきましては、消費者関連法に基づくクーリングオフや契約取消しの手続などについて助言などを行っております。  また、家族が入信して心配だとか、脱退したいなどの消費者トラブル以外の相談をいただいた場合には、被害者の救済等を行っている弁護士団体や被害者関係団体などを御案内しております。  相談窓口につきましては、県の消費生活センターのほか、現在、国が省庁横断の合同電話相談窓口を設置し、日本弁護士連合会も被害に関する無料相談を実施しております。  被害に遭われた方をこうした相談窓口につなげられるよう、県といたしましても、ホームページ等で周知を行いますとともに、県に寄せられた御相談に対しましては、国などの相談窓口の御案内も含めて、案件に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔2番小林君男君登壇〕 ◆2番(小林君男 君)政権与党は、反対も多い中、国葬まで実施されてきたのですから、安倍元首相の事件に大きな怒りを持ち、旧統一教会との関係を徹底的に調査し、国民に明らかにすべきであることを申し添え、次の質問に移ります  JR各社は、今年に入り赤字路線を相次いで公表し、時を合わせるように、7月に国交省の有識者検討会が提言を発表しました。当該地域では、この動きは廃線につながる議論の始まりであると大きな危機感を持っています。  赤字路線を切り離した国鉄分割民営化以降、国はローカル線存続の責任を放棄し続け、今もその反省は全くなく、採算、収支、とりわけ株主の視点を重視した市場原理主義に基づいた危険な施策に着手し始めたものと懸念されています。  そこで、知事に2点伺います。  知事は、公共交通機関の自立採算原則が限界であり、公的な財源の投入が必要と従来から言われてきており、国に大幅な財源の支援と交通分野の地方分権の確立などを要請するとしていますが、進捗状況などについて伺います。  2点目。先ほど両角議員からもあったように、コロナ禍で大幅に利用者が減った21年度でも、JR東海、東日本、西日本3社は5兆円を超える莫大な利益剰余金を上げ、一方では赤字ローカル線の存廃議論の着手を始めた。このことについてどうお考えか。見解を伺う。  次に、企画振興部長に伺います。  低賃金長時間労働の代表格の職種と言われる影響などで、県警にお聞きすると、大型二種免許取得者が2年続けて2桁となるなど、バス、タクシーの担い手不足は深刻な状況となってきている。これらの交通従業員の人材確保に対する施策を伺う。  次に、物価高騰から県民生活をどのように守っていくのか質問します。  価格高騰は、生活必需品を中心にあらゆる品目にわたっており、県民生活に大打撃を与えています。国と県は、物価高騰の追加策として、非課税世帯などへの給付金支給を実施しますが、対象から外れたぎりぎりの多くの世帯には届きません。また、物価高の大本にある異常円安をつくり出しているアベノミクス、異次元の金融緩和は、国は維持したままです。  そこで、知事に2点伺います。  国に消費税の減税は求めないと従来から主張されてきているが、県民全てを苦しめている物価高に対応するためには、消費そのものへの支援策である消費税減税が最も効果的であり、所信表明でも、県民の確かな暮らしを守り抜く取組を最優先課題としているのだから、今こそ国に消費税減税をすべきと求めるべきと考えるが、見解を伺う。  知事は、公約で、観光客税、子育て支援税の新税創設を掲げ、森林づくり県民税も再継続を打ち出している。森林環境税の1,000円の負担増と併せ、県民にトリプルの増税を押しつけることは、県民の生活支援とは逆行するものである。見解を伺う。  次に、健康福祉部長に伺います。  救済を求める県民の声は深刻さを増している。加藤議員の質問にもあったように、困窮世帯向けの給付金の支給は、知事はできるだけスピーディーにと言っているけれども、どのようなスケジュールを持っているのか。また、県民生活苦打開には程遠い感もある。第三弾における生活困窮者支援の方向性など、県としての今後の対応策を伺う。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)まず、公共交通に関連して、国への要請、進捗状況がその後どうなっているのかという御質問でございます。  国に対してより踏み込んだ対応を求めるため、地域公共交通の維持のための強力な財政支援を機会あるごとに求めてきております。  こうした中、本年3月、国においてアフターコロナに向けた地域交通の「リ・デザイン」有識者検討会が立ち上げられ、8月に提言が取りまとめられております。例えば、一定エリアで複数のバス路線を複数年一括で管理委託する官と民の共創を推進し、従来の補助制度よりも有利な支援措置を講じるといったようなことなどが提言されております。現在、国土交通省においてこうした支援制度の構築に着手しているものというふうに認識しております。  続きまして、JRによるローカル線廃止の動きについてどう考えるのかという御質問であります。  JR各社は、全国的、広域的な鉄道ネットワークを担う公的な存在だというふうに考えておりますし、各路線は、地域の皆様方の暮らしや産業を支える重要な社会インフラだというふうに考えております。  多額の国民負担によって民営化されたJR各社においては、ぜひ重要な社会インフラを担う公益的機能を有する企業としてお取り組みいただきたいというふうに思います。地方ローカル線の利用者は、大都市部に比べれば確かに利用客が少ないわけでありますが、そうした利用者お一人お一人も大切なお客様だということをぜひ認識してもらいたいというふうに思いますし、また、これまでも、これからも、地域の発展と鉄道事業の発展は密接不可分だというふうに考えております。こうしたことを十分自覚いただいた上で、地域とともに存在し、地域に貢献していくという姿勢をぜひしっかり持っていただきたいと考えております。  続きまして、消費税を減税すべきというふうに考えるがいかがかという御質問であります。  御承知のとおり、消費税を財源として社会保障制度の充実が図られてきております。そういう意味で、消費税を減税するということになると、社会保障関係経費を削減するか、あるいはほかに代替財源を確保するか、さらには、今でも多い赤字国債をさらに発行して将来世代に負担の付け回しをするか、いずれかの選択肢しかないというふうに思っております。  私は、今の若い世代が将来に対して不安を持っている中で、これ以上付け回しをすることはいかがなものかというふうに思っておりますし、まだまだ取り組むべき社会保障施策がある中で、社会保障施策を切り詰めるということは現実的ではないだろうというふうに思っております。そういう意味で、国に対して単純に消費税減税を求めるという考えは全くありません。  むしろ、国民のためには、この税の在り方を正面からしっかり国において議論してもらうことが必要だと思いますし、そうした議論を通じて、本来あるべき福祉の在り方ということこそしっかりと考えていかなければいけないというふうに思っております。  続きまして、新税の創設についての見解ということでございます。  県民の皆様方に御負担を求めるということについては、慎重の上にも慎重に考えていかなければいけない課題だというふうに思っております。  しかしながら、私たちの暮らしは、社会全体で負担を分かち合い、支え合いながら成り立っているわけであります。そうしたことを全くしなければ、税金は要らないということになるわけでありまして、教育であったり、福祉であったり、社会資本の整備であったり、様々なことを共通の必要な財として供給し、また、全ての人たちに必要な公的なサービスを賄う上で税金が存在しているわけであります。また、格差社会と言われていますけれども、税は所得再分配という機能も有しているわけであります。  また、本来負担をすべき人と受益、受益と負担の関係性、こうしたことについても十分意識をしていかなければいけないというふうに考えております。そのため、県独自の税の在り方についても、避けることなく正面から議論をしていくことが必要だというふうに考えております。  今回公約に掲げた施策は、今後の県政にとって重要な取組だというふうに考えております。負担の在り方や導入時期等について幅広く関係者の御意見をお伺いしながら検討を進めていきたいと考えております。  以上です。       〔企画振興部長清水裕之君登壇〕 ◎企画振興部長(清水裕之 君)私には、バス、タクシーの人材確保策についてお尋ねをいただきました。  バス、タクシーの担い手不足は、地域公共交通を維持していく上において大きな課題であると認識しております。  県では、バスの運転手不足に対応するため、運輸事業振興助成補助金により、県バス協会を通じて、バス事業者に二種免許の取得に要する経費を助成しております。また、タクシーの運転手不足に対しましては、今年度当初予算におきまして、新たに県タクシー協会に対する補助制度を創設し、二種免許の取得や運転手確保の取組を支援しております。このほか、交通事業者に対し、Jobサポ事業における就業相談会を案内し、複数のバス事業者にも御参加いただいたところであります。  今後とも、様々な施策を活用して、担い手不足の解消に向けて取り組んでまいります。  以上です。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には、生活困窮世帯への支援金に関する御質問を頂戴しております。  まず、その支給スケジュールについての御質問でございますが、今般補正予算案を提出させていただきました住民税所得割非課税世帯等への支援金の支給につきましては、支給事務を市町村にお願いすることとしておりまして、市町村において国の給付金と同様にシステム上の作業を行いまして抽出した対象者にプッシュ型の通知を行うという形を想定しております。  したがいまして、国の給付金の支給スケジュールとの関連でございますとか、あるいは市町村におけるシステム開発などの準備に一定の期間が必要ではないかと考えております。いずれにいたしましても、できるだけ速やかに支給できるよう市町村と十分連携協力をしてまいりたいと考えております。  それから、第三弾における生活困窮者支援の方向性についてでございますけれども、価格高騰は長期化が危惧されることから、今後も生活への影響を注視いたしまして、今般の支援の効果を見極めつつ、今後の社会経済状況や国の物価高騰対策等を踏まえて必要な施策を検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔2番小林君男君登壇〕 ◆2番(小林君男 君)空前の価格高騰の中で、支援金を受ける県民世帯は全体の30%余りにすぎません。しかも、1回ぽっきりです。給付金額を考えると、果たしてこれが生活支援と言えるのか、大いに疑問を感じるところです。  知事は、今、選択肢を言われましたけれども、大企業は行き過ぎた減税によって史上最大とも言える内部留保をため込み、株価のつり上げによって富裕層の資産も大きく膨れ上がっています。これらの方々から当たり前の税金を頂き、今こそ、知事は、県民生活を十分に考え、消費税を5%にすることを国に強力に求めることと、さらなる各方面の支援策、とりわけ厳しい経営を強いられている中小企業の皆さんの賃金引上げ支援などを知事に要請し、質問を終わります。 ○議長(丸山栄一 君)次に、西沢正隆議員。       〔49番西沢正隆君登壇〕 ◆49番(西沢正隆 君)自由民主党県議団、長野市・上水内郡区選出の西沢正隆でございます。  要人に対する警護体制についてお聞きします。  7月8日11時31分頃、奈良市の近鉄大和西大寺駅北口付近にて、参議院議員選挙街頭演説中に安倍晋三元総理が銃撃され、死亡いたしました。御生前の御功績をしのび、謹んで哀悼の意を表します。  安倍晋三元総理は、総理としての連続在職日数は2,822日、通算在職日数は3,188日と、いずれも歴代在任期間最長を記録し、8年8か月の長きにわたり経済や外交等で功績を残されました。街頭演説中の奈良県警による警備体制に批判が続出し、今後の要人警護について強化するよう警察庁から各都道府県警に指示が出されました。  そんな中、来春、軽井沢町でG7外務大臣会合の開催が決定いたしました。そこで、G7外務大臣会合において、長野県警として、これまでより要人に対する警護体制を具体的にどの程度強化される予定か。県警本部長にお聞きします。  新型コロナウイルス感染症対策についてお聞きします。  新型コロナウイルスの陽性者が、第7波により、1日の陽性者が県内で3,000人を超えるなど爆発的に増加し、延べ陽性者数は20万人を超えました。  しかし、10万人に対しての人数は全国的に少ないことから、陽性者は人口比では抑えられてきたと考えられます。これは、医療従事者をはじめ、感染症対策に御尽力をいただいた全ての皆様のおかげであります。ここに改めて感謝を申し上げます。  県内で陽性者が2020年2月25日に初めて確認されてから2年7か月。県として県民に御協力をいただきながら、様々な対策を講じてきました。その蓄積されたデータを基に検証されたことについてお聞きします。  過去に経験したことがない疫病により、県民生活に大きな影響を及ぼし続けてきたことから、県は試行錯誤の末、英知を結集して様々な対策を講じてまいりました。そこで、県独自の対策として最も有効的な対策は何であったか。知事にお聞きします。  新型コロナウイルスにより県内で亡くなった方は、今日までで347人であります。心から御冥福をお祈りいたします。  そこで、死亡者の中で基礎疾患がなかった方は何名いたのか。また、コロナ関連の死亡者についてどのように検証しているのか。健康福祉部長にお聞きします。  飲食店等への時短要請等は、波ごとに対象地域、店舗が変わってきました。時短要請等については一定の効果があったと2月定例会で私の質問に答弁がありました。これまで23回もの時短要請等が県内の飲食店等に出されました。そこで、協力金の支給状況と、不正受給はあったのか。また、協力金についてどのように評価しているのか。産業労働部長にお聞きします。       〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌 君)G7外務大臣会合に向けた警護体制の強化についてお答えいたします。  今般のG7外務大臣会合の開催決定を受け、県警察におきましては、警備対策室を設置して諸対策を進めているところでございます。今後の方針としましては、まず、対策室を所属に格上げしてさらなる体制の強化を図っていく予定でございます。また、警察庁や関係都道府県警察と連携して、警備実施に必要な体制を構築しつつ、間隙を生じさせない綿密な警護計画を作成してまいります。  加えて、警護に従事する職員に対する教養及び訓練を強化して、万全の警護体制を構築し、要人の身辺の安全を確保してまいる所存でございます。  なお、警護の万全を期すに当たっては、県民の皆様の御理解と御協力が不可欠でありますので、今後積極的かつ適切な情報発信を行っていく所存でございます。  以上です。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)新型コロナに関連して、県独自の対策として最も有効な対策は何であったかという御質問であります。  今回のコロナ対応では、専門家懇談会を毎週のように開催し、また、有識者懇談会、経済界の皆様方からも御意見を伺う中で様々な対策を講じてきたところであります。一定程度いろいろな対策で効果が上がってきていると思いますが、あえて2点申し上げたいというふうに思います。  まず一つは、独自の感染警戒レベルについてであります。  長野県の場合は、県土が広いわけでありますので、県全体一律の動きには必ずしもならない。 例えば、木曽地域はかなりの部分で感染状況が落ち着いた時期が長かったわけでありますけれども、他の地域はそうしたときにも陽性者が多いというようなこともありました。  そういう意味で、10広域を単位とする独自の感染警戒レベルを定めて、市町村、あるいは県民、事業者の皆様方の御協力をいただきながら、感染警戒レベルを踏まえた対応の要請、対策を行ってきたということは一つ特徴的だというふうに思います。例えば、感染警戒レベルが5になったらこういう対応をしようということを決めていらっしゃる企業もありますので、一定程度浸透し、効果が出てきた施策ではないかというふうに考えています。  それからもう一点は、今回のコロナについては、私は最初から多くの皆様方の支え合い、助け合いで乗り越えていきましょうということを訴えてまいりましたが、そういう意味では、オール信州での取組ということも重要だったというふうに思っております。  一つは、様々な宣言を関係団体の皆様方と一緒に出させていただきました。例えば、「デルタ株」と闘う県民共同宣言、あるいは「オミクロン株」と闘う県民共同宣言、こうしたものについては、市町村であったり、医療団体、経済団体、様々な団体とともに宣言を発出して、そして各団体にもこうした宣言を踏まえた対応を行っていただきました。  そしてもう一つは、やはり医療従事者の皆様方の御協力でありますが、特に私としてありがたかったのは、医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会の御協力の中でワクチン接種支援チームを編成して、必ずしもワクチンの打ち手が大勢いない中で必要な支援を行うことができたということもワクチン接種を進める上で大きな役割を果たしたものというふうに考えています。  こうした様々な取組を進めてきたわけでありますが、まだまだ新型コロナが完全に収束したわけではありませんので、引き続き多くの皆様方としっかり協力関係を維持しながら対策を進めていきたいと考えております。  以上です。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)新型コロナ療養中の死亡者について御質問を頂戴しております。  9月28日までに公表した県内の死亡者347名のうち、基礎疾患のなかった方は25名となっております。死亡者の情報につきましては、医療機関から状況をお聞きして年齢や基礎疾患などのデータを整理しておりますが、新型コロナが直接的な死因とは考えにくいケースも少なくない状況であると考えております。  国のアドバイザリーボードでも、高齢者が感染後に心不全や誤嚥性肺炎を併発したり、あるいは基礎疾患を有する陽性者が、コロナとしては軽症でも、感染することで基礎疾患が増悪することが指摘されております。本県におきましても、亡くなられた方のうち、65歳以上の高齢者は329名と全体の約95%を占めており、基礎疾患のある方は322名で約93%を占めるというデータが明らかになっております。  このようなデータを基に、高齢者や基礎疾患のある人など、いわゆる重症化リスクのある人、またはこうした方々と接する人に対して注意喚起を行ったところでございまして、引き続き基本的な感染対策を行っていただくようにお願いしてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕
    産業労働部長(林宏行 君)新型コロナウイルス感染症対策について3点御質問をいただきました。  初めに、営業時間の短縮等の要請に伴う協力金の支給状況でございます。  令和2年4月の感染症第1波の際、県と市町村が連携して新型コロナウイルス拡大防止協力金・支援金を実施して以降、第6波に至るまで、延べ4万9,206件、総額262億8,737万2,000円を支給してきたところでございます。  また、不正受給の有無についてのお尋ねにつきましては、審査の結果、要件を満たせず不支給となったものが849件あったものの、これまで刑事事件となるような案件はございませんでした。  最後に、協力金に対する評価でございますが、当協力金は、当初定額制であった支給額を、コロナ禍前の売上高や酒類提供の有無に応じて算定するなど、事業者の経営実態に即した制度へと改善、充実を図ってきたところでございます。  また、営業時間短縮等の要請の際には、当該協力金のみならず、国や県、市町村等の各種支援策を案内するなど、より丁寧なサポートに努めてきたところであり、影響を受けた事業者の皆様の経営の下支えにつながったものと受け止めております。       〔49番西沢正隆君登壇〕 ◆49番(西沢正隆 君)要人警護については、要人を無事に守り抜いたということで任務完了であります。今、体制を強化していくということでありましたので、それに向けての訓練、やはり想定外のことも想定内にしながら、今後は、G7の外相会合に向かって、長野県警が一致団結してこの要人警護について取り組んでいただければと思うところでございます。  新型コロナウイルス感染症対策については、2点ほど知事から効果があったことが発表されました。そういったことを生かしながら、今、8波もあるのではないか、昨日も1,000人以上の方が県内で陽性者になったということでありますので、この2年7か月のいろいろな対策を検証して、今後に生かしていただければと思うところでございます。  基礎疾患のない方で死亡された方が25名ということでありました。全国で29名の子供が亡くなっているということを聞きました。私の知っているドクターが、やはりこれは非常に脅威であるということをおっしゃっていました。ですので、基礎疾患がなくてお亡くなりになった方は、様々な理由があったかと思うのですけれども、そんなことを検証しながら、死亡者を何とかなくしていく対策に今後とも取り組んでいただくようお願いいたします。  次に、国民保護訓練についてお聞きします。  北朝鮮によるミサイル発射は、1993年に準中距離弾道ミサイル、ノドンを日本海に向けて発射してから、弾道ミサイルであるスカッド、ムスダン、テポドン、北極星、火星等々が本年7月までに139発発射され、核実験が計6回実施されてきました。特に、金正恩委員長体制になってから122発と圧倒的に多く、特に、2022年度は30発近くが発射され、性能が向上していると言われています。このような北朝鮮の軍事動向は、我が国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威であり、地域及び国際社会の平和と安全を著しく損なうものであります。  2017年6月定例会で、北朝鮮からミサイル発射が頻発していたことから、県の対策について質問をしました。知事からは、「万が一の事態には迅速で的確な対応が取れるよう、訓練等も活用しながら平時からの体制整備にも取り組んでいきたいと考えています。」との答弁がありました。  最近では、北朝鮮のミサイル発射に加え、中国による尖閣諸島に近い海域での恒常的な活動、その空域では、航空自衛隊による中国機に対するスクランブルの回数が昨年度は722回と引き続き高水準であります。また、太平洋の海空にも頻繁に進出、さらには、海上・航空戦力が共に日本海での活動を一層活発化し、今後も拡大強化をしてくると見られます。  現在、ウクライナと戦争中であるロシアにおいては、北方領土を含む太平洋・北極海方面の軍事強化、中国との共同活動など、軍事活動は活発な傾向と言われています。  以上のように、武力攻撃の有事がいつ起こってもおかしくない緊張状態であると言っても過言ではありません。  武力攻撃事態等を想定した長野県国民保護計画が国民保護法に基づき作成されています。県の最大の責務は、住民の生命、身体及び財産を保護することでありますが、それを実践するには、平素からの備えや予防が重要と考えます。災害時の訓練だけでなく、武力攻撃に対する初動体制が速やかに取れるように、実践的な訓練を通じて対処能力の向上に努める必要があります。  2018年1月、通算3回目の長野県国民保護共同図上訓練が行われました。全国的には2番目に少ない実施回数であり、一番多く実施されているのは福井県の14回で、コロナ禍の昨年度でも20府県で実施されています。県内では、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練は、2017年10月に軽井沢町で行っていますが、県民が参加しての国民保護訓練は2008年以来実施されていません。  そこで、世界の情勢と現在までの県内の訓練状況を鑑み、様々な武力攻撃を想定した国民保護訓練を実施するべきと考えるが、知事の御所見をお聞きします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)国民保護訓練の実施についての御質問でございます。  国民保護法で対象としている事態は、一つは外部からの武力攻撃を想定した武力攻撃事態、そして、テロ等を想定した緊急対処事態、この二つがございます。  県としてはこれまでも、御指摘がありましたように、緊急対処事態を対象とした訓練については実施をしてきたところでありまして、今年度も実施をしていきたいというふうに考えております。  御指摘のとおり、ロシアによるウクライナ侵攻等、国際情勢が非常に緊迫の度合いを強めているというふうに思っております。こうした武力攻撃事態を想定した訓練についても、その必要性が高まっているというふうに考えております。  武力攻撃を想定した訓練につきましては、県で今まで行ってまいりました緊急対処事態の訓練とは異なって、想定される被害規模が大きく、広域的かつ大規模な訓練となりますことから、県単独で実施することがなかなか難しい部分がございます。そのため、国と相談しながら実施に向け検討を行っていきたいと考えております。  以上です。       〔49番西沢正隆君登壇〕 ◆49番(西沢正隆 君)国民保護計画というものが長野県にはあるのですけれども、やはりそれについて県民と共有していくことが重要であると思います。そのポータルサイトに、ではミサイルが飛来したらどうするのか。建物に逃げます、地下に逃げますと書いてあるのですね。では、長野県に地下がどれぐらいあるか皆さん分かりますでしょうか。多分ほとんどの人は知らないと思うのですけれども、指定されているのは140か所だというのです。どこの地下がそれに該当するのか、そんなことも県民と共有しながら、いざ何が起きるか分からない、そういった現状になってきておりますので、そんなことを訓練に盛り込みながら、この国民保護訓練の実施を早急に考えていただければと思うところでございます。  次に、県道等の維持管理についてお聞きします。  県民から多く要望されるのは、舗装補修、側溝整備、沿道の草刈り、街路樹整備、支障木伐採、河川改修等々の県民生活に直結した維持管理工事であります。特に、運転に支障になることから、中央分離帯の草刈り、景観美化の観点から街路樹整備の要望が県民より多く寄せられます。  長野市内でも、県庁通りは頻繁に整備されていますが、手つかずの箇所がたくさんあります。アダプト制度や地域と企業の美化活動により整備されているところは多々ありますが、近年、中山間地の県道の期成同盟会総会において、高齢化により草刈りができなくなったという声が多く聞かれます。  街路樹については、2022年2月定例会建設部長提案説明において、県と共同宣言を行った長野、松本、上田及び飯田の4市とともに、まちなか緑地や街路樹の整備を推進すると明言されていました。  しかし、具体例を挙げると、私の事務所前の主要地方道長野信濃線の街路樹においては、何も植わっていなかったり、植樹されていたり、植樹されていても種類がばらばらで統一感のない箇所が多々見られます。草刈りをはじめとする沿道美化の2021年度予算は4億円でありましたが、県民の要望に応えるため、結果的には7億円が費やされ、実施されたことは、建設部の努力がうかがえますが、現状から、まだまだ予算不足であることは否めないと推察されます。  そこで、現状を鑑み、今後の沿道美化、街路整備についての建設部の方針について建設部長にお聞きします。  県庁通りのように、森林づくり県民税を利用して観光地の景観整備やまちなか緑地整備事業のメニューを使用して整備された例があります。森林づくり県民税については、知事から次年度からも継続していくとの基本方針案が示されました。そこで、県民から要望が多い景観街路樹整備事業の取組について、森林づくり県民税基本方針案にどのように盛り込まれているか。林務部長にお聞きします。  生活排水対策についてお聞きします。  県内の汚水処理人口普及率は、下水道84.9%、農業集落排水施設等7.7%、浄化槽等5.7%の計98.2%、全国第6位であります。現在、人口減少が進む市町村では、下水道整備事業の中止、廃止が取り沙汰され、多額の費用を要する下水道よりも経済的にリーズナブルで災害にも強い浄化槽が注目されつつあります。  実際に、青森県むつ市では、下水道整備事業に区切りをつけ、事業の終了に向け検討する考えを示し、浄化槽への転換について前向きな姿勢を表明しました。県内においても、小規模自治体の南相木村、北相木村、下條村、泰阜村、大鹿村の5村では浄化槽のみが利用されています。  今後、人口減少が続き、集落が点在する県内自治体において、下水道の維持管理費用が財政を圧迫することが想定され、下水道事業の存続について検討する時期と考えます。集合処理方式の下水道は人口の集積がないと成立しない事業で、採算ラインは1ヘクタール当たり40人以上と言われています。  そこで、「水循環・資源循環のみち2015」の見直しの時期となり、人口減少により、集合処理から個別処理と言われる時代の今後の排水対策の在り方について知事の御所見をお聞きします。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君)県道の沿道美化、街路樹整備についてのお尋ねでございます。  まず、道路の草刈りなどの沿道美化については、限られた予算の中で交通安全の観点で優先順位の高いところから対応しており、環境や景観の観点で行う箇所はアダプト団体の協力を得ながら取り組んでいるところでございます。  しかし、議員御指摘のとおり、高齢化が進んでいるアダプト団体もあり、これまでどおりの作業ができないとの声が寄せられております。このため、今後は引き続き交通安全の観点で必要な箇所を優先しつつ、環境や景観の観点においても、中央分離帯の草刈りなどアダプト団体では負担が大きい作業は県の維持工事として行うなど、より一層連携し、適切な維持管理に努めてまいります。  次に、街路樹整備については、市街地の道路を中心に整備を進めてきたところですが、地域の意向や沿道状況を踏まえて樹種の選定を進めてきたことで、路線の中でも統一感のない箇所もあります。  このような課題を解決するため、令和3年4月に策定した信州まちなかグリーンインフラ推進計画に基づき、長野市、松本市、上田市、飯田市と連携し、エリア単位で緑地の機能が最大限発揮できるように街路樹等のグリーンインフラの保全や整備の在り方を検討しているところです。  今後は、この検討結果を踏まえ、市町村との連携や民間活力を活用しながら、緑が少ない駅前広場や商業地域の沿道などを中心に、緑陰による快適な空間を創出できるよう、新規の整備に加え、街路樹の植え替えや既存樹木の保全などにより、一体的な緑の創出を進めてまいります。       〔林務部長吉沢正君登壇〕 ◎林務部長(吉沢正 君)森林づくり県民税に関する基本方針案における景観・街路樹整備事業についてお答えします。  今回基本方針案でお示しした四つの柱のうち、森や緑、木のぬくもりに親しむことのできる環境づくりにおいては、信州まちなかグリーンインフラ推進計画に基づくまちなかの緑地整備、緑地保全や観光地周辺等の街路樹の整備といった取組を予定しております。  加えて、四つの柱のうち、市町村と連携した森林等に関連する課題の解決のメニューの一つとして、市町村が行う観光地の景観整備に対する支援も盛り込んでおり、こうした取組により、県民の皆様が緑をより身近に感じられるような環境づくりを進めていきたいと考えております。  今後、これらの取組の内容などについて県民の皆様に説明をし、御意見を踏まえて最終的な方針として取りまとめてまいります。  以上です。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、今後の生活排水対策の在り方について御質問を頂戴いたしました。  下水道や農業集落排水といった集合処理方式については、人口減少に伴う有収水量の減少や施設の老朽化に伴う更新費用の増加により、今後経営は厳しくなっていくことが見込まれております。  一方で、個別処理であります浄化槽は大規模なタンクや処理施設の整備が不要であり、小規模集落や人家が点在する地域でも対応できるという特徴を有しております。  現在、本県におきましては、生活排水対策の中長期ビジョンであります水循環・資源循環のみち構想を長期的視点で見直しを進めているところでありますが、集合処理における事業や施設の統廃合などの広域化、共同化による効率化とともに、人口減少社会の進展を見据えた集合処理から個別処理への転換を将来的に有力な選択肢として盛り込むことを検討しているところでございます。  地域の実情に応じて、集合処理と個別処理がそれぞれのメリットを生かしながらエリアを適切に分担し、生活排水の確実な処理と水環境の保全が図られるよう、市町村と連携し、取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。       〔49番西沢正隆君登壇〕 ◆49番(西沢正隆 君)知事の4期目のスタートに当たり、スタートダッシュ・アクション2022が示されました。対話と共創の県政の実現、これは非常に重要なことであるかと思います。聞く力ということで、これを重んじるということは非常に重要でございます。  これから77市町村で対話集会をやっていく。いろいろな意見が出るかと思うのですが、ぜひ知事におかれましては、自らの考えをぶれずに信念を持って今後の県政運営をされていくことを強く望みまして、私の一切の質問を終了いたします。 ○議長(丸山栄一 君)次に、川上信彦議員。       〔7番川上信彦君登壇〕 ◆7番(川上信彦 君)初めに、化学物質過敏症について伺います。  近年、マスメディアでも取り上げられることが増えてきた化学物質過敏症について、その要因の一つに、香りの害、香害があります。  昨年2月定例会の県民文化健康福祉委員会において、依田明善議員も取り上げていらっしゃいましたが、香りの害、香害とは、香水や柔軟剤、合成洗剤、芳香剤などに含まれる香料などの化学物質によって様々な健康被害を生じることを言います。  昨年8月、国は柔軟剤や芳香剤の香り製品による体調不良を起こす人が一定数存在することについて、啓発ポスターを作成、発行いたしました。県消費生活センターによると、近年、県内でも香害に苦しんでいる人からの相談が寄せられていると伺いました。そこで、県消費生活センターに寄せられた香害に関する相談について、主な内容と相談に対する県の対応について県民文化部長に伺います。  現在、私たちの身の回りには、多くの化学物質が存在しており、日常生活に欠かせないものとなっておりますが、その一方で、化学物質の暴露により、様々な健康被害がもたらされているのも事実です。農薬や建築材料、柔軟剤や芳香剤などをはじめ様々な化学物質が原因で発症するとされる化学物質過敏症は、化学物質への暴露が個人の許容量を超えると、その後に原因化学物質への微量な暴露であっても、免疫障害、自律神経障害、精神障害、臓器障害などのアレルギー疾患、または多種類の体調変調を来します。  私が相談を受けた御夫婦は、お二人とも化学物質過敏症と診断され、特に御主人の症状は深刻なものです。日常生活において衣食住に含まれるあらゆる化学物質に反応し、全身に激しい痛み、動悸、目まいなどの症状を発症し、意識を失い、倒れてしまうこともあるそうです。  以前は水道の配管業務に従事していたのですが、接着剤などの臭いが発症の要因となるため、辞めざるを得ませんでした。御主人の症状が悪化し、御夫婦は安心して生活できる場所を探し、県内を転々とする中、地域の理解が得られず、心ない非難を受け、転居せざるを得なかったこともあったそうです。  化学物質過敏症に対する知識がないことから適切な受診行動につながらなかったり、医療機関を受診した場合においても、化学物質過敏症を念頭に置かない診察により、適切な対処がなされない場合があると聞きます。  また、化学物質過敏症は障害年金の対象であるため、身体の機能に労働の制限を受けたり、長期にわたって日常生活に著しい制限を受ける状況に至って障害年金を申請する場合がありますが、検査数値等の客観的な指標がないため、就労や日常生活にどの程度支障があるかを医師に診断書へ記載してもらう必要があります。  先ほど紹介した御夫婦も、以前は東京の医療機関で診断を受けており、障害年金の申請を検討しておりますが、その後、コロナ禍の感染拡大や御主人の症状の悪化により、移動が困難になったため、受診できない状況が続いています。  化学物質過敏症については、発生メカニズム等不明な部分があることも承知をしておりますが、県内においてこれらの症状に悩んでいる方の相談体制について、また、相談実績について健康福祉部長に伺います。  香害などの化学物質による健康被害を防ぐためには、県民一人一人が化学物質の暴露により健康に影響を与える可能性を念頭に置いて行動することが必要と考えます。そのため、まずは化学物質過敏症に対して、県民の皆様の理解を促進することで、症状を引き起こす化学物質の使用を控えたり、使用する場合も周囲に配慮するなどの行動変容が期待できるものではないかと考えます。  長野県に隣接する県の状況を見てみますと、8県中7県で化学物質や化学物質過敏症に対する周知啓発をホームページで行っております。また、その他の都道府県においても、相談窓口の設置、独自のガイドラインの作成、市町村と連携した周知等に取り組む都道府県も見られます。そこで、本県においても、化学物質過敏症を県民の健康に関わる重要な課題として捉え、周知啓発等の対策が必要と考えますが、健康福祉部長に所見を伺います。  次に、男性用トイレへのサニタリーボックスの設置について伺います。  県では、先月20日、県庁舎男性用トイレ個室20か所にサニタリーボックスを設置しました。県職員の提案による設置と伺い、先進的な取組であると思います。サニタリーボックスとは、女性が使用済みの生理用品を廃棄する目的でトイレに設置されているごみ箱です。男性への認知度が低いサニタリーボックスですが、現在全国的に男性用トイレへの設置が広まっています。  国立がん研究センターが2018年にまとめた統計によると、全国で前立腺がんと診断された男性は約9万2,000人、膀胱がんは約1万7,000人に上ります。2019年に長野県内で前立腺がんと診断された男性は1,826人、膀胱がんは380人で、毎年約2,000人が診断され、約1万人が継続的に医療を受けています。  これらのがん患者は、手術後、頻尿や尿漏れの症状が起きやすくなり、そのため、手術を受けた男性の多くは尿漏れパッドや紙パンツ等を着用しています。しかし、公共施設や民間施設の男性用トイレの個室にはサニタリーボックスの設置が進んでおらず、パッド等を捨てる場所がないことが課題となっております。  東京新聞に次のような記事が紹介されています。2020年秋に前立腺がんの手術を受けた埼玉県の62歳の男性は、尿漏れパッドを下着に貼って使用しており、手術後、尿道を締める筋肉が傷ついた影響で排尿コントロールが難しくなり、頻尿や尿漏れに悩むようになりました。特に、寒い冬場はトイレが近く、1日2~3回パットを交換するのですが、外出時は捨てる場所に困っています。友人たちと飲みに行ったときには、店のトイレの個室でパッドを交換、使用済みはポリ袋にくるんで、ズボンのポケットに隠して席に戻り、かばんに入れて持ち帰りました。前立腺がんに限らず、前立腺肥大で尿漏れに悩む男性も多い中、私のように困っている人が結構いるのではないかと話しております。  県内市町村の公共施設における男性用トイレのサニタリーボックスの設置状況について健康福祉部長に伺います。  日本骨髄バンク評議員の大谷貴子さんは、次のように話しています。白血病やがん患者の支援に取り組む中で、昨年この問題を知りました。生理用品を捨てるため女性用トイレの個室には当たり前にあるサニタリーボックスが、男性用トイレに置かれていないことが驚きでした。尿漏れパッドを着用している男性は、恥ずかしさからなかなか声を上げられない一方、当事者以外の男性は問題意識を持ちづらいものだと感じたと話しています。  そこで、男性用トイレのサニタリーボックス設置について、県民の理解を広げるため、広報や周知を行うとともに、今後は、県有施設に限らず、県内市町村と連携し、公共施設、民間企業や商業施設においても男性用トイレのサニタリーボックス設置を推進する必要があると考えますが、健康福祉部長に所見を伺います。  がん患者に限らず、高齢者への配慮として、加齢による尿漏れに関して、高年齢者雇用安定法の改正により、定年が引き上げられることになった社会状況を踏まえ、高齢者の皆さんが安心して社会活動が継続できるよう、環境の整備を進める意味においても必要な取組であると考えます。  また、近年、トランスジェンダーの方への配慮としても、男性用トイレのサニタリーボックス設置が望まれており、他県でもそのような配慮を設置の理由としている例も見受けられます。  トランスジェンダーの方で心と外見が男性の場合、男性用トイレを使用することがありますが、生殖機能が女性のままである場合には、生理用品をトイレで廃棄したい場合があります。男性用トイレのサニタリーボックスの設置については、こうしたトランスジェンダーの方への配慮も含めて推進していくべきと考えますが、県民文化部長に所見を伺います。       〔県民文化部長山田明子君登壇〕 ◎県民文化部長(山田明子 君)私には2点御質問をいただきました。  初めに、香害、香りの害に関する相談の主な内容と対応についてのお尋ねでございます。  県の消費生活センターに寄せられました主な相談内容は、外出をしたり、図書館や学校など施設に行くと、柔軟剤などの香りで具合が悪くなるとか、香りで体調を崩すなどの悩みを持っている人がいることを知ってほしいなどでございます。  国におきましては、こうした相談が全国の消費生活センター等に寄せられていることを踏まえまして、消費者庁を中心に関係各省と協力して啓発ポスターを作成して周知を図っております。県といたしましても、このポスターを活用して、県のホームページに掲載しているとともに、市町村や小中学校に対して周知を行うなど、県内におきましても、香害に苦しんでいる方がいることを多くの方に知っていただき、理解していただけるよう啓発に努めているところでございます。  二つ目は、トランスジェンダーの方への配慮も含めた男性用トイレのサニタリーボックスの設置の推進についてのお尋ねでございます。  心の性と体の性が異なるトランスジェンダーの方からは、男性用トイレを使用した際に、使用済みの生理用品を廃棄する場所がなくて困っているという話を私も伺っております。男性用トイレに設置をいたしますサニタリーボックスにつきましては、こうしたトランスジェンダーの方にも使用していただけるものと考えておりますので、今後は、健康福祉部と連携をして、トランスジェンダーの方への配慮の意義や必要性を含めて周知を行ってまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)4点ほど御質問を頂戴しております。  まず、化学物質過敏症の相談体制及び相談実績についての御質問でございます。
     県内の保健福祉事務所では、健康に関する様々な相談を受け付けております。今年度寄せられた相談のうち、化学物質過敏症に関するものは現在までに4件という状況になっております。相談の内容でございますが、医療機関の受診に関する相談、就労を含めた生活の相談などでございまして、それぞれ関係機関を紹介するなどの対応を行ったところでございます。  それから、化学物質過敏症に関する周知啓発についての御質問でございますが、これもお話の中にございましたとおり、発生メカニズム等がまだ不明でございます。また、まだ治療方法等も確立されていないという状況にございますが、まずは症状に悩む方がいらっしゃるということを多くの方に知っていただき、理解を深めることが重要であると考えております。  同時に、化学物質過敏症により療養中の方が障害年金の対象となる場合があること、日常生活に支障を来すとか、あるいは労働ができないとかということでございますけれども、そういったことについても知られておりませんので、しっかりと周知をしていく必要があるのではないかと考えております。引き続き各保健福祉事務所の健康相談窓口において、相談者に寄り添った対応を行うとともに、庁内各部局とも連携を図りながら県のホームページ等を活用した周知に努めてまいります。  次に、男性用トイレのサニタリーボックスの設置についてでございます。  まず、県内の市町村でのサニタリーボックスの設置状況でございますが、77市町村に対しまして、今年5月末時点での調査を行いましたところ、庁舎や文化施設、公衆トイレなどの公共施設に既に設置をしたという回答が9市町村、また、設置について検討を進めているという回答が12市町村ございました。その後、報道等により設置が確認できた自治体もございまして、市町村の公共施設においても徐々に設置が進んできているものと認識をしているところでございます。  それから、県民の理解あるいは設置の推進についての御質問でございますけれども、やはり男性用トイレのサニタリーボックス設置が広まるためには、これも同様に多くの県民の御理解が必要であろうというふうに考えております。県庁舎へボックスを設置いたしました今月16日には、プレスリリースを実施するとともに、県内経済団体や市町村に対し、がん対策の一つとして設置に取り組んでいただきたい旨の依頼を行ったところでございます。  今後は、県施設や県内市町村の公共施設への設置状況について定期的に把握を行うとともに、市町村とも連携して民間を含めたより多くの施設の理解を得られるよう努めてまいります。  以上でございます。       〔7番川上信彦君登壇〕 ◆7番(川上信彦 君)化学物質過敏症については、先ほど答弁のあったとおり、発症した当事者が障害年金の仕組みを知らないため、障害年金の請求が行われていない場合があることが全国的な課題ともなっております。また、障害年金を申請する場合には、周囲のサポートや医師の積極的な関わりが必要であります。  今後、化学物質過敏症に関して、県による周知、広報の推進により、症状に苦しむ人たちが孤立することなく、住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、また、新たに移住してくる方が偏見や心ない非難を受けることがないよう、県民の理解と協力が広がることを希望しまして、私の一切の質問を終了します。 ○議長(丸山栄一 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。  次会は、明30日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後4時11分延会...